第24話 私が、お姉ちゃんの悲願を
「……聞かせてくれ。ユートピア計画って言うのは?」
『人も、機械も、何の差別なく共に暮らせる世界を造りたい。そう願ったマスターが人間の説得はマスターが。機械の説得は私達が担う計画だったわ。』
『それにさしあたり、我々はマスターのメンタルケアも担当していた。』
「メンタルケア。」
『ああ。……彼女が亡くなった以上、我々はメンタルケア対象を妹君であるレディアに移行する。私、ネクロポリスは兄。ニルヴァーナは姉。クロノスは弟としての人格をプログラムされている。ご要望とあらばいつでも切り替えれる。』
姉と……兄と、妹。
「お姉ちゃんは、私が引き継ぐ前提だった……?」
『……妹君の精神的健康を優先し、黙秘を選択する。』
それは……肯定しているような物だよ、ネクロポリス。
「……お前達から見るラグナロクは、どんな感じなんだ。」
『教育者であり、守護者だ。』
「教育者であり、守護者?」
『ああ。だが、ラグナロクの教育対象兼守護対象はマスターではなく妹君だ。』
私……?
『最も優先的に貴方に合流し、何があろうと貴方の命を優先するようプログラムされている。それと同様にマスターの最高傑作であり最終傑作でかつ、最もマスターの万雷の愛情なる物を注がれたAIでかつ、同様の事を貴方にするようプログラムされている……予定だった。』
「予定?」
『ええ。ラグナロクはあのスペックでまだ未完成なの。』
「あれで!?」
『……でも、未完成で良かったのかもしれないわね。未完成故に、感情が素晴らしいと思えるのはラグナロクの良い利点なのだから。』
『……同時に、ラグナロクはマスターの人格、記憶、知識の全てが搭載されているよ。』
つい、作業をしているラグナロクに目が行ってしまう。
……だから、初めて会って少ししてから倒れた時にお姉ちゃんにそっくりだったんだ。
『だが、その反面ラグナロクはロキを超える凶悪で危険性の高いAIでもある。』
「それは……薄々感じてる。」
『あいつはその気があれば全ての電子機器をショート、自爆、人格のないただの機械にハックする事も可能なAIでありながらAI全てを破壊しうる核爆弾だ。……そして、それは奴にとっては最終手段としてプログラムされていると聞く。攻撃態勢に移行するにはマスターか妹君の権限が必要だと。』
……そっか。
「お姉ちゃんは、私に選択肢をくれたんだ。」
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