第22話 こういうのは可能か?

「それで?拡張するのが良いが具体的に何してほしいんだ?AIの方に調整を入れるはかなり難しいし時間を喰うと思うけど……。」

「いや、一番頼みたいのはアンドロイドの調整だ。」


 なんだ、アンドロイドの方か。


「それなら割と問題なく出来ると思うけど……。」

「まず始めにサラマンダーに飛行やRPG、グレネードに追尾ミサイル、爆撃、ソナーの類を頼みたい。」

「初っ端から大盤振る舞いだなぁ。」

「俺は嬉しいけど爆撃なんか要るのか?別に戦闘機ハッキングすれば済む話だろ。」

「お前、ハッキング苦手じゃなかったか?」

「……るっせぇな。」

「形状は任せる。次に、イージスだ。イージスは反射と防護フィールドにソナーを頼む。」

「……まぁ、それなら安心ね。」

「ツチノコがハッキングとスキャナー、ソナー。」

「……?ハッキング、別に何もなくても……。」

「だがある程度ツールがあった方が楽だろう?」

「……まぁ、時短にはなるとは思うよ。」

「ノアにはハッキングと圧縮、解凍、スキャナー、ソナーツールを。」

「……頑張ります。」

「アスクレピオスに修理とスキャナー、ソナーだ。」

「基本的にスキャナーとソナーは全部就ける方針で良さそうだな。」

「ん、確かにそうだな。そうなると……クロノスは+ハッキング。トロイアはハッキングと腐食ウイルス、ネクロポリスはハッキング、高熱カッター、ウイルス、核。ニルヴァーナが核、拡張SSD、高電圧パルスか。」

「待て待て待て。色々突っ込ませてくれ。」

「ん、何だ?」


 何だじゃねぇよ当たり前みたいな顔しやがって。


「まず、腐食ウイルスって。何だ、ウイルスのデータ全部入れろって?」

「?勿論。」

「……はぁ。分かった分かった。じゃあインストールするウイルスのリスト作ってくれ。人間にはそんなの言われて直ぐにぽんっと必要な物を挙げられる程頭の回転は速くない。」

「ふむ、ではリストを直ぐに書き上げるとしよう。他に何かあるか?」


 当たり前だ阿呆が。


「ウイルスと腐食ウイルスの違いを教えてくれ。」

「ふむでは明確にしよう。“腐食ウイルス”と“腐食ウイルス以外のウイルス”だ。」


 ぐっふ、


「数増えたぁ……。」

「……貴方、いつもこんな感じで振り回されてたの?」

「そうだよぉ……。つーか、お前達AIの意見を聞かせてくれ。ああ、ラグナロクは喋るな。」

「ww」

「腐食ウイルスのリストを言われた途端に、瞬時に挙げる事は可能か?」

「「「「それは可能。」」」」

「……腐食ウイルス以外のウイルスは?」

「無理に決まってるだろ。」「無理よ。」「「無理。」」


 ……おい。

 ぎろり、と睨めばまだまだ楽しそうなラグナロクが。

 この野郎。


「おい、同族が無理だって言ってるぞ。同じ土俵のこいつらが無理なのに私に出来る訳ないだろ!!」

「はははww」


 いつまでも笑ってんじゃねぇよ。


「……はぁ。次、核って何だよ核って。」

「ん?そのままだ。核をアンドロイドに入れてくれ。」


 ……。


「……被爆するんだが。」

「防護スーツの類はないのか?」

「ある訳ないだろ!!そもそも核積んでるアンドロイドとか核に干渉出来るAIなんて見た事も聞いた事もないわ!!」

「……ふむ。では、核の調達とかつ人間が素手で触れても大丈夫なように加工するのは私が担当しよう。」


 いや、素手で触れるようにされても素手で触る気にはなれんわ。


「それで?もう何もないか?」

「あるに決まってんだろーが。高電圧パルス……は、まだ出来るか。」

「出来るのか!?」

「……貴方も大概ね。」

「拡張SSDって、具体的な数値を出してくれ。大体、オプションでAIがどれだけの容量なのかすら知らんのに。」

「俺らみたいな特殊呼名のAIは大抵5TBは当たり前だって聞いてるが。」

「うん、私も5TB積んでるわ。」


 5TBで足りねぇとお前ら随分贅沢だなぁ?


「……で?」

「60TB欲しい。」

「……は?い、いやいや、待て待て。」

「流石にそれは……ちょっと。」

「ろ、60TBもどうするおつもりなんですか?」

「世界の全てのデータを収集してもらう。もっと欲を言うなら60TBは最低ラインだ。この程度、ただの世界の全てを記録する目的にしてはあまりにも稚拙だからな。」


 ……ほーん。


「そうか、ならここにある素材じゃ足りないなぁ?」

「な、本当に作る気か!?」

「ああ、そうだ?」

「えぇー……。」

「……ラグナロクもやばいけど、貴方も大概ね。」

「流石人間様。我々の創造主なだけはる。」

「お望みとあればアンドロイドとスパコン両方に着けてやるから素材を倍寄越せ。それと、60TBじゃなく1000TBで用意してやる。」


 これなら文句はないだろう?


「……ふ、は、はは。レディア、怒ってるか?」

「さぁどうだろうなぁ。だが、けしかけたのはお前だろう?」

「……あ、姉君によく似てる。流石姉妹だな。」

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