第21話 これからこういう事をしていくつもりだ

「もう、起きて良いの?」

「ああ。大分楽になったし、ラグナロクもベッドから出さえしなければ良いって言ってただろ?」

「……けど。」

「……大丈夫だって。」


 ―――こんこん


「はい。」

「……ああ、起きてしまってるんですね。」

「……そんなに心配しなくても大丈夫だって。お前達機械でも、ウイルスやら何やらにかかって誤作動が生じる事なんて茶飯事だろう?」

「ですが、我々は直ぐに直せます。……人間よりも、簡単に。」

「……それはどうだろうな。機械も、壊れる時は壊れるさ。」

「……とりあえず、ラグナロクが言っていた必要な材料、全て集まりました。」


 早いな。


「ありがとう。ラグナロクがもう少し落ち着いたら手を出すとしよう。」

「出来る事ならそのまま大人しくしてほしい物だがな。」

「うるさいなぁ。」

「……とりあえず、レディアもある程度は回復したし、次の方針の話をしようと思う。」


 お、やっとだ。


「次はどうするんだ?」

「アスクレピオス、クロノス、トロイア、ネクロポリス、ニルヴァーナを引き摺り込む。」

「「「「えっ、」」」」

「今回は随分と多いな。アスクレピオスって言うのは?」

「修理に特化したAIだ。あやつの手に掛かればウイルスも、物理的な故障も修復対象が機械である限り絶対に失敗しない。」

「じゃあ、クロノスは?」

「時間を操る事に特化したAIだ。」

「……何が出来るの、それ。」

「かなり何でも出来るぞ。一時的に世界中の時計を狂わせる事も、ログの完全改竄も、時限爆弾の設定時間の改定する事も出来る。」

「じゃあ、トロイアは?」

「トロイアはウイルスの生成に特化したAIだ。あいつに作れないウイルスはないし、無効化出来ないウイルスもないだろうな。」

「ネクロポリスは?」

「あやつは解体と改造を得意とする。無論、対象を自分の配下として侵食する事もな。」

「ち、ちなみにネクロポリスを手に入れようとした人間の国が全員味方同士で殺し合いをした記録……残ってるよ。」


 ああ、こいつか。人間をもハッキング出来るとか言う奴。


「まぁ、ネクロポリスは自分に害がなければ大人しい。話し合いくらいは特に難なく出来るだろう。」

「ニルヴァーナは?」

「浄化と情報蓄積に特化した、図書館とも煉獄とも取れるAIだ。……我々AIの中では煉獄と言う渾名で呼ばれていた。」

「ちなみに、ニルヴァーナはあの軍事国家を焼き払ったわよ。」

「あの軍事国家?」

「ほら、人間の国で最も軍事に特化した国、あっただろ。世界の国家元首とか言われてたあの国だよ。」


 え、


「……後半、火力酷過ぎない?」

「まぁ、こいつも攻撃されなければ何もしてこない類だ。時間さえあれば何とかなるだろう。……それにさしあたり、またレディアにアンドロイドの制作を頼みたい。」

「ああ、そんな事か。構わないよ。」

「但し。……ちゃんと体調管理はしろ。幾ら私でも人間の病気やら何やらには遭遇した事がない。……知識だけあっても、経験がなければ何とも言えんのだ。頼む、もうお前から応答がないのは非常に……不安だ。」


 ……本当に、ラグナロクって機械らしくない。


「ああ、気を付けるよ。」

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