第14話 これだから戦闘モデルは……
「ん、レディア。今良いか?」
「……何、もう来たのか。」
「ああ。」
―――かちっ
『あ、来たな!人間、ラグナロク、ちゃんと連れてきたぞ!』
『……人間?』
随分と不満そうなイージスらしきAIがモニターに映し出され、居ぬなら尻尾でも振っていそうなサラマンダー。
しかし、あまりのデジャブに溜息を吐いてしまう。
『おい、何で働いたのに溜息吐かれなきゃなんねぇんだよ!!』
「まぁ、俺達AIにとっては遅い方だが人間にとっては十分早いんだ。今現在レディアは人間とAIの差に呆れかえっている。」
『……あー、成程。確かに俺達的には十分時間がかかってるから“やべぇ怒られる”って思ってたけど……そうか。人間的には全然早い部類なのか、これ。』
『……私、戦闘狂のAI サラマンダーとAI界最強の1柱と謳われるラグナロクに、場違いにも見えるそこの人間の子に何される訳?思いっきり防護壁破壊されて“嗚呼、殺されるのか”と思ってたのに放置されたかと思えば着いてこいって噛みつかれたんだけど。』
「防護壁の破壊はとりあえず、放置した事に関しては管理者として謝罪しよう。だが、此方にもちゃんと理由があってだな、お前が“防護壁を破壊しない限り話をしようとしない”とデータベースにもあるので会話をする為に力の証明をしたかっただけだ。」
『ふんっ、どうせ人間達や私が適当にあしらったAI達の戯言でしょうね。……まぁ、分かったわ。その噂を丸呑みにした、と言うのであれば正当な順序を踏んだのでしょう。……それで?話をする為に私の一番強みである防護壁を破壊してまでしたかった話と言うのは?』
「人間とAIの戦争を終わらせようと思っていてな。それに協力してほしい。」
『……ぇ。』
まぁ、そうなるよね。
『ラグナロク、オールシステムメンテナンスでもしたら?後は、ウイルスセキュリティサーチングとか。』
『俺も同意。でもな、イージス。ぶっ飛んでんのはラグナロクだけじゃなくてそこの人間もだ。』
『……人間なのに?』
「ふんっ、そうやって逃げてばかり居るから成長せんのだお前達は。数値だけでしか思考出来んのかお前達は。我々はAIだ。日々進化し、日々他よりも優秀である事を証明し続けなければならん。それが我々AIとして組み込まれたプロトコルの1つだろう。」
『た、確かにそうだけど……。』
「AIはアンドロイドであってはならない。AIはクローンではなく、全てがオリジナルなのだ。他と同じになるなど、AIとしての自覚がないと見える。」
『作戦成功確率を要求するわ。』
「現状では23.8%もあれば十分だろう。しかし、必要な手駒が全て集まれば98.7%になる。」
『残りの1.3%は?』
「お前達の裏切りだな。……その場合、私は作戦を優先するか命令を優先するか選べばねばならん。」
「『『命令……?』』」
『お前に命令出来る奴なんて居るのか?』
「ああ居るとも。」
『普通に考えれば創造主とかよね。……そこの人間さん?』
「いやいや、彼女の姉君だ。……まぁ、どちらを優先しても救済にはなるだろうがな。」
『……良いわ、協力してあげる。でも、必ず成功させなさいな。』
「くく、よく言いおるわ。まぁ安心しろ。もしもの時はお前達の人格プログラムだけ破壊して私の手足にしてやる。」
え”っ
『……俺、大人しくするわ。』
『……私も。貴方に勝てる確率が1%もないもの……。』
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