第12話 ……俺が言うのもなんだが

「……ぅうん。」

「む、目が覚めたかレディア。」

「どれくらい……寝れ、た?」

「ざっと3時間程だ。……確か、データに“ショートスリーパー”なる物があったな。あまり長く眠っていられない人種の事を差す言葉で。」


 その通りですよーだ。

 おもむろに、無自覚に、直ぐ傍に置いてあったノートパソコンを開けば


『あ、ようやっと開きやがったな。』


 ……?


「やぁ、サラマンダー。気分はどうだ?」

『良い訳ねぇだろこのチート野郎。俺の性能でも出られないこの箱は何だ。』

「特別なプログラムを組んである。データベースとネットワークから収集したお前の戦闘データ、又は破壊データから演算した対サラマンダー用プログラムだ。」

『通りでどんだけハッキングしかけてもプログラム攻撃しても修復スピードが異常な訳だ……。』

「では、本題に」

「待て待て待て待て!!」

「何だ。そう怒鳴らずとも聞こえているが。」


 それは黙れって意味か!?


「な、何で物の数時間でサラマンダーが私のノートパソコンに隔離されてるんだ!?」

「必要だったから。」

「おいっ!!それで済まそうとするんじゃない!!」

『俺も色々説明してほしいですけど~。なぁんで戦闘中に突然訳分からんプログラムに捕まってこんな所に引き摺り込まれてるんだ~。つか何だよ、入れはするけど出れないプログラムって!!』


 今回ばかりはサラマンダーに同意だわ、私でも捕まえられなかったんだぞこいつ。


「言っただろう、私の方が適任だ、と。」

「そうは言ったが……。」

『……なぁ。そろそろ無視するの辞めてくんね?全部壊すぞ?』

「ほう?鳥籠の中、対抗手段すら持たぬ鳥がよく吠えよるわ。」

『ぐぎぎ……。さっさと用件を言え!!』

「我々の仲間になれ。」

『却下だ。誰がお前みたいなやばい奴とたかが人間の小娘に従う物か。』

「ほう?そのやばい奴とたかが人間の小娘に敗北しているのにか?」

『地雷なんて汚い手さえ使われなければ大丈夫だったわ!!』


 あ、嵌められたんだ……。


「まぁまぁ落ち着け、地を這う火蜥蜴よ。」


 ほんっと煽るの好きだなお前。


「お前、この頃戦争があまりにもつまらなくないか?100%勝てる敵など、相手にしても面白くないだろう。なら我々と遊ぼうではないか。」

『……嫌だ。絶対にやべぇ事要求するだろお前。』

「いやいや、出来ない事を頼むつもりはない。だが、その代わりに震える程の戦場をお前にやろう。更なる高みへと行ける、そんな戦場を。」

『そりゃそんな物があれば良いが……。』

「それともお前はやる前から諦めて怖い怖いと嘆くだけの阿呆か?高みと言うのは、挑戦して事見つけられる物だ。」

『……ちょっと腹立つが、最悪にぶっ飛んでて最高にクールだな、それ。じゃあこうしようぜ。お前らが本当に俺に最高の戦場をくれるなら俺はお前らに従ってやる。但し、少しでも俺の望みにそぐわなければ俺はこの矛先をお前らに向ける。』

「構わん。」

「え、私は嫌なんだけど。」

「守ってやるから安心しろ。」

『そんで?俺、何壊せば良いんだ?』


 こいつもこいつで物騒だな。


「イージスの防護壁を瓦礫に変えてきてくれ。」

『ぇ”、』

「ラグナロク、イージスって前に言ってた防御に特化したAI?」

「ああ、そうだ。かなりの平和主義でな、過去にイージスの防護壁を破れた者は居ない。しかし、本人は防護壁を破れる相手としか口を利いてくれんのでな、力ずくで壊さねばならん。」

「『なんて言う無理ゲー……。』」

「何だ、破壊の権化たるお前でも壊せないのか。その特性を着けてくれた創造主に土下座でもしてきたらどうだ?」

『ッ、そこまで言うならやってやらぁ!!見てやがれ!!』


 だ、大丈夫かな……。

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