第6話 ……変な奴だな
よく言うよ。
とりあえず、差し出されたココアを受け取れば向かい側に座り、読書を始めるラグナロク。
いやいや、ここまで気にさせといてだんまりはないだろ。
「AIとアンドロイドの違い、って何だ。」
「データとしての体か、物質としての体かの違いだ。AIはデータだ。電脳世界にある我々の本体その物。アンドロイドは素体だ。AIを入れて動かすただの人形。だからこそAIはアンドロイドを捨て駒にして、常にネットワークに自身を繋いだままいつでも逃げ出せるように小汚い手法を使う。」
同族の事をさらっと馬鹿にしたなこいつ。
「ラグナロクとサラマンダーの違いは?」
「知性の差だろう。」
「お前、罵倒好きだな。」
「そうか?ただの質問に対する回答なのであまりよく考えずに回答しているんだが。」
なら性格が悪いわ。
「説明を継続する。具体的な説明をするのならば、適正分野の違いとスペックの差だろう。サラマンダーは破壊に特化している。破壊と言う項目だけであれば私でも勝てないだろうが他のプログラムはあまり積まれていない。なので戦闘をしながら相手の先を読んだり、騙し討ちをしたりと言う狡賢い手段を取る事なく正面突破をし、猪突猛進なただの狂戦士とも言える。スペックに関しても、奴は“破壊に関するデータしか蓄積していない”。何処が弱点で、何が弱点でくらいの物だ。AI故にハッキングは可能だろうが相手が相当弱いAIでなければ意味がない。」
「じゃあ次。ラグナロク以外の特殊個体AIってのは?」
「あまり表沙汰にならないだけで山程居る。ロキも勿論そうだし、サラマンダーとは真逆の防衛に特化したイージス、なんてのも居る。まぁようするにAIではあるが最も人間に近しいAIの事を我々は特殊個体と呼んでいる。」
「……もし、もしも私が復讐を望んだら?」
「喜んで協力しよう。どう復讐するのが望みだ?帝国の生き残りを炙りだすか?それとも直接マスターを殺害したロキを滅ぼすか?はたまた、戦争ごと敵対する全てを吹き飛ばしてしまうか?」
「ふふ、私に……ただの人間に機械と人間の戦争を止めろ、と?」
「時に人は演算を超える。時に機械は感情を超える。しかし、ここには人と機械が居る。何故、試してもいないのに不可能だと断言出来る?」
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