第18話 あの苺。食べたいから買ってくれ

「え、こんなに貰って良いんですか!?」

「良いの良いの、うちは旦那と2人暮らしだからね。」

「奏君、ほら、見てって見てって!」

「あ、あの……おやじさん。」

「もー、堅苦しいなぁ奏君は!おやっさんで良いよ、おやっさんで。うちにはこんな優秀な息子は居ねぇや!」


 がっはっはっと楽しそうに笑う八百屋のおやっさんに少し気圧されながら声を出す。


「……俺が好きだった野菜、とかよく買ってた野菜……とかってあるんですか?」

「ん?そうだな……ああ、これとかはよく買ってたな。」

「大根、唐辛子、ほうれん草、ラッカセイ。……苺とメロン?これ、果物じゃないんですか?」

「実は野菜なんだ。」


 へぇ……。


「高菜、白菜、水菜、ネギ、生姜……ですか。結構多いんですね。」

「他にも幾つか買いに来た物はあるけど、大体メモを持ってくるから蓮燔君にお使いでも頼まれたんだろうねぇ。あ、蓮燔君を待ってる間に苺でも食べるかい?」

「え、い、良いんですか?」

「なぁに、英雄様に献上するくらい、許さない奴なんて居ないさね。」


 「これが1番綺麗だな」と渡された苺を1つぱくりと食べればやっぱり美味しい。


「……美味いです。」

「そら良かった。奏君、他に何か見ていくか?」

「おやっさん、果物見せて下さい。」

「(ビクッ)」

「果物だね、こっちだ。」

「いつの間に帰ってきてたんだお前。」

「ん?ついさっき。何々?俺に聞かれたらまずい話でもしてたぁ?」

「……別に。……あ。」

「ん?」

「……今日、寒いし夕飯は何かあったかいもん作ってくれよ。後、あの苺も買って帰ってくれ。」

「おう!」

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