第16話 もうすぐ楽になるからね

「はーい。大丈夫、ちゃんと食べて。」

「もうちょっと、おう、それぐらいだ。もうちょっと頑張ろうな。」

「……ぃ、ぁ。」

「我儘言わないの。ほら。」

「……師匠。」

「この子、高熱出すと毎回こうなのよ?」

「だ、大丈夫なのか。」

「愛し子は抑圧されて育ったのよ。……だから、過去を思い出さなくて良いように多少強引でも早く解放してあげなくちゃいけないの。でも生きる為にも食事はちゃんと取ってもらわなくちゃ。……例え、私達が嫌われる結果になったとしても。」


 ディアルードに背後から抱き込むように拘束され、ルフェイアに強制的に食事を取らされている師匠。

 師匠の師匠、レーデルさんとやらから貰った錠剤を見せた途端に怯え、拒絶の言葉をずっと繰り返していた。

 ……もっと、もっと強くならないと。師匠がこうして何度も怯えなくて済むように、俺に遠慮して隠さなくて良いように。

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