第14話 「もう我慢しなくて良いから」
「俺は結界でも強化してくるか。」
「私は綺麗なお水取ってくるね!」
「なら私はご飯か。うーん……愛し子、同族食い嫌いだからな〜。」
「あ、あの。俺、俺料理出来るんで作ってきます。」
「ほんと?助かるわね。私達は人間を食べるから人間の食べる物が分からなくて。」
「しょ、消化に良くて食べ易ければ良いですか?」
「それとこれも。」
「魔力の……花?」
「そ。私達命喰の魔力。他の魔力よりも貴重だからね。今のあの子の体に丁度良い。全部混ぜても味は変化しないから少し多めに入れてあげて。但し、入れる時は無心で入れる事。」
「ど、どうして……。」
「想いに反応して魔法が乗ってしまう事があるからよ。休んでほしいと思えば強い睡眠薬に。熱が引いてほしいと願えば解熱剤に。死んでほしいと思えば毒薬になる。たった一口だけでその効果が出てしまう。今の貴方ではね。使い方を覚えるまでは無心で入れて。」
「……じゃ、じゃあ、少しでも楽になれるようにって思えば……ど、どうなるんですか?」
「想いの強さによって、どういう認識かによって変わってしまうから何も思わないのが1番賢いかな。……貴方はまだ未熟だと言う事を忘れない事。良いわね?」
「……。……はい。」
少し青い顔でもあり、焦った様子でもある弟子はたたたっと駆けていき、他の皆もそれぞれの仕事を果たしに行くので部屋に入れば
「……これは、なかなか我慢してたのね、愛し子。」
部屋にはかなりの瘴気が愛し子から放たれており、右手は大きく肥大化し、黒い鱗が生え、爪まで形成されてしまっている。
一方、左手は黒い、悪魔のような巨大な腕をしている。
これだから純混血種は大変よね。この様子だと足も変わってるかも。
ベッドに腰掛け、冷汗を掻いている愛し子の頬にそっと手を添えれば少しずつ顔色も良くなり、呼吸も安定し始める。
「うん。貴方は休んで良いの。ゆっくり……ゆったりね。」
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