第11話 リバウンド
「……ルフェイア。」
「はーい?」
「……あれから1週間が経ったんだが、いつになればこの姿を戻してくれるんだ。」
「?いつまでもその姿よ?」
つい、深々と溜息を吐いてしまう。
俺が倒れたあの事件から1週間。
命喰は地下にあるゲートを通じて何体も此方に流れ込んでくる。最初はうるさくて叶わなかったが彼等はそうなるとあらかじめ知っていたのだろう。俺のご機嫌取りの為、彼等の知識を500頁はあろう書籍に敷き詰めて来る度に渡してきた。
……内容が面白くてつい、大魔導図書館以外での作業ではあれば全面的に許可してしまった。
時折あちらにしかないと言う食べ物や飲み物を持ってきては料理を作り、その食卓に巻き込まれるにぎやかな毎日。つい最近はそれを眺めている事も多くなったが不思議と居心地が良いと思ってしまうのが多少に癪に障ってしまう。
それはそうと。
「……戻してくれ。生活しにくい。」
「その為に私達が居るんじゃない♪」
「俺は、世話をされたい訳ではない。知識を、新たな発見を求めているだけだ。体が小さ過ぎて作業にも支障が出ている。早急に、戻せ。」
「……はーい。」
ルフェイアがパチンと指を鳴らせば久々の大人の体へと戻り、大魔導図書館に新たに用意した談話室のソファから降りて体を動かしてみる。
「……うん、こっちの方が動き易い。」
「可愛かったのに。」
「却下だ。それより、ルフェイア。お前はあいつ等に混ざってこなくて良いのか。」
「私はフィルに興味があるの。それに、これは個人の自由でしょ?別に邪魔もしてないんだし、良いじゃない。」
「ああ、そうか……い……?」
「フィル!」
急に眩暈がしてバランスを崩せばルフェイアが軽々と抱え上げてくれるがどうやら驚いた顔をしてから優しく笑いかけてくるが頭がぼっーとして、眠くて、体が暑くてどうしようもない。
「……な、に。」
「フィル、結構な高熱よ?ここよりも魔力の多い私達の里に来れば早く治るけど?」
「……や……。」
「……思ったより辛そうね。分かったわ、貴方の部屋で療養生活ね。」
意識がどんどん薄れ、睡魔に身を任せて目を閉じた。
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