第9話 朦朧としていく意識の中で

「……んぁ……?」

「師匠!」

「キュウ!キュウ!」


 目を開ければ意識を失った時と同じく、大魔導図書館に居るのが分かる。

 ……そうだ。


「……グロウ、ディ。あいつは……ルフェイアは……何処だ?」

「まだ帰ってきてない。そんな事より、師匠は休んでてくれ💦」

「そんな、暇……はぁ……?」


 体を起こすも目線は低く、疑問に思って手元に視線を落とせばやたらと丸くなっているように見える。大きさもかなり小さい。

 ああ……そうか。


「ルフェイアの奴、体……縮めていきやがったな。」

「大丈夫、なのか?」

「特にはな。……が、これはなれるまでかなり動きにくいな。」

「あ、フィル。もー動いちゃ駄目。」


 さっき見た時は大魔導図書館の入り口に居たのに、いつの間にか抱え上げられてしまっている上に額に手を添えられていて、妙に眠たくてウトウトしてしまう。

 そうか……こいつの、魔法……か。


「し、師匠💦」

「~♪やっぱりフィルって、フードで顔隠してるけど結構の美人さんよね♪最初は本当に男性なのかと思ったけど♪」

「……報……告。」

「あら、しぶといわね。まぁ、いっか。騎士団も軍人も全滅させてきたわよ。あ、そうそう。お金も掠め取ってきたわ♪放っておいても3日以内になくなるんじゃないかしら、あの国。それと……意識があるなら1個聞いておこうかな。」

「はぁ……?」


 な、何を……?


「もー別に貴方の弟子を騙す必要もなくなってしまったんじゃないかなって。……どう?こっちでの生活が息苦しいって前に言ってたじゃない。この城を彼にあげて、貴方は私達の世界にいらっしゃいな。私達、命喰の世界……悠久の夢に。」

「め、命喰!?命喰って確か、戦闘力も頭も桁外れで同族以外の生物を食べるって……!!お前、師匠を喰う気か!?」

「グルル……!!」

「いいえ?この子とは色んな契約を結んでる。お互いに、死ぬと困るのよ。……なのに貴方達の世界の者はやたらとこの子を苦しめる。本当、貴方達って愚かよね。自分よりも強い存在に対して尊敬や畏怖よりも嫉妬や私欲を優先させるなんて。……全く以って理解出来ない。」


 ルフェイアは静かにその場に座れば左手だけでなく大きな右手で俺の両手を握ってくるので余計に眠くてそろそろ頭が回らない。瞼も少しずつ降りてきてしまう。


「フィル、貴方はどう?他の皆は何としてでも貴方を保護したいみたいだけど、私は貴方の意志で選んでほしい。こっちにおいで、フィル。貴方が欲しい物は何でもあげる。きっと、この世界を調べ尽くしてしまった貴方でも面白いと思える物が沢山あるはずよ。」

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