第8話 思ったよりも

「師匠……師匠!!」

「キュウ!!キュウ!!」

「……うるせぇ、お前等。」


 グロウディに背負われながら、ルディオに吠えられながら城へと足早に戻っていく。

 ふと後ろに気を回せば地上で奴等が国へ戻っていくのが分かる。

 良かった。とりあえずは……大丈夫だな。


「……早く、帰らないとな。結界を……強、化―――」


 意味は分かるが理解しがたい言葉の羅列が頭の中を駆け巡る。

 ……クソ、結構……効くな、これ。

 フラフラと遠ざかっていく意識についつい身を任せたくなってしまう。眠たくて、眠たくて。だがそうすればこの城は誰にも守れない上に折角の宝物も無駄になってしまう。


「……起き、ねぇと。」

「馬鹿、何言ってんだ!!ちゃんと休んで―――」

「お前じゃ……力不足だ。……お前じゃ、守れない。」

「っ……!!それでも、俺は―――」

「フィル。」


 群青色の髪と毛並みの耳と9つの尾を持つ、他者よりも人1倍体の大きいルフェイアの声がすると思えばいつの間にか大魔導図書館の私の簡易ベッドに寝かされていて、ルフェイアが優しく頭を撫でてくれているのが見える。少し離れた所には座布団越しに床に座っているグロウディとルディルの姿も確認出来る。


「う、え……?」

「ク、リュゥ……?」

「……ルフェ、イア。……何で―――」

「何で出てきた、なーんて酷い事言わないわよね?私が守ってあげるから大人しく休んでね。起きちゃ駄目。」


 ルフェイアの手が離れると共に急激に意識が遠ざかっていき、グロウディ達が狼狽えているのが見えた。

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