第7話 お互いに

「初めまして、魔術師殿。敵でありながら、突然の訪問をお許し下さった貴公のお慈悲と寛大さに感謝申し上げます。」

「御託は良い。……悪いが、ここは俺の城でありながらこの世で最も安心出来る場。気になって俺の結界内に入れてはやったがこれ以上は踏み入れさせる気は死んでもない。」


 第一結界と第二結界の間に臨時で作った小さな箱庭にて、俺が出した紅茶を飲み交わしながら言葉を交わす。

 やはり護衛であったらしい6人の騎士は立たされているし、私の弟子であるグロウディもルディオを抱いて私の後ろに控えているが明らかに殺意が少しだけ漏れている。

 ……色々と、早く終わらせる必要がありそうだ。俺も、こいつ等との会話はあまり嬉しくない。


「そうですか。では……単刀直入に。魔術師殿、我々にご協力頂けませんか?」

「はっ?な―――」

「黙れ。牢屋に吹き飛ばすぞ。……それで?全く意味が分からんのだが。」

「今現在、とある吸血鬼を追っておりまして。どうも、我々だけでは一歩足りず、嘲笑われてしまうのです。」


 良い気味じゃねぇか。


「ふん、それこそ大々的に世界に知らしめてやれ。ここに来る暇すらなくなるくらいに愉快なショーが始まってくれる。悪いが、俺もその方が面白い。」

「貴様「黙りなさい。……無礼なのは貴方ですよ。」

「……クク。お互いに飼い犬のしつけがなっていないようだ。」

「そのようです。誠に申し訳ありません。」

「いやいや。謝る気が本当にあると言うならば、是非とも“言霊の呪”を解いてほしい物だな。」

「其方こそ、是非とも我々を苦しめているこの暑さをどうにかしてはくれない物か?」

「「却下する。」」

「だが、これで分かったな?」

「ええ、勿論。」

「交渉は決裂だ。早急に立ち去れ、人間。」

「その決断を後悔なさい。覚悟しておきなさい、人外。」

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