企画ご参加ありがとうございます。
主催の箱女と申します。
一話目を読んだ時点でこれはパワーが要るぞ、と思ったので二話時点で書かせてください。
何よりもここで書きたいと思いましたので。
ヨブ! まさかヨブの名前をここで見るとは! という思いです。
聖書は解釈で常に議論の起きる難しい本ですが、ヨブ記はなかでも異質ではないかと勝手に思っています。
信じた先の話なのか、それとも耐える過程なのか。
あるいは神と悪魔の無法を外から見ている読者だけの心の話なのか。
変わり種な組み合わせだと思います。女性とヨブ記。面白いです。
企画に準じた見方ですと、最初にインパクトがあって、そのまま引っ張っていく文章の力があります。私が欲しいもののひとつです。
葬儀のほうは語り口が穏やかで自然に読まされるといった力学でしたね。
勉強になります。
重ねてですが、企画ご参加いただきありがとうございました。
作者からの返信
読んでくださってありがとうございます。
ヨブ記はいろいろな人がいろいろな解釈をしているみたいですね。自分は、吉本隆明さんがヨブ記について語った講演のなかで、「ヨブへの神の返答に納得できないなら、みなさんが書いてしまえばいい、自分なりのヨブ記を書けばいいんですよ」と言っているのを聞いて、非常に感銘を受けました。この作品は、そんな言葉に触発されて書いたものでもあります。
ヨブ記が扱っているようなスケールの大きなテーマと痴漢の問題を一緒くたにするなよ、と言われそうな気もしますが、被害に遭った当人にしてみれば、その深刻さに優劣はないと思ったりもします。
丁寧なコメント、ありがとうございました。
強烈な一篇でした。
僕は(一人称からお察しの通り)男性ですが、女性の主観でここまで痴漢という犯罪が描かれた作品に触れたことがなかったので、なおさら圧力があったのかもしれません。
淡々と、読み易い長さで綴られる貴作には、拝読中に雑念の入る余地がありませんでした。
強烈な内容を、強烈な感情描写で、しかしどこか落ち着き払った文体で。
この三つを満たした貴作は、間違いなく読者の胸を打ちます。「刺さる」よりも「射貫く」よりも、確実かつ重量感のある形で。
今日もまた、凄まじい読書経験をありがとうございました。
作者からの返信
読んでくださってありがとうございます。
ぼくも男性なので、勝手に想像して勝手に描いているような、そんな後ろめたさがあります。少しでも、当事者の痛みや苦しみに寄り添うことができればいいのですが。
言葉を尽くして自作を評していただけて、とても嬉しく、励みになりました。ありがとうございます。
編集済
批評企画から参りました。批評すべき点はありません。完全に素晴らしい作品でした。
思わず読了後重いため息を吐いてしまうほど引き込まれ、色々と思いが込み上げてくるような、そんな素敵な作品でした。ここには生きた、生の感情が描かれていると思います。色々と感情移入しすぎてしまって言葉が出てきませんが、大変素晴らしい作品でした。この様に素敵な作品に出会わせて頂きありがとうございます
作者からの返信
読んでくださってありがとうございます。そのように言っていただけて、とても嬉しいです。自分にとっても、想いや痛みを全力で注ぎ込んだ、愛着の深い作品なので、少しでもこころに引っかかるものがあったなら幸いです。ありがとうございました。
koumoto さま、
はじめまして。
自主企画への参加ありがとうございます。
「雛鳥の葬儀」と「ヨブのごとく」を拝読しました。どちらも胸にせまるものがあり、読むのに覚悟がいりました…。
「雛鳥の葬儀」は自分という枠組みを越えて、弟自身と弟との関係性を普遍的に捉えようとする兄の優しさ、冷静さが印象に残りました。
「ヨブのごとく」は人間性の排除に対する怒りですね。ジェンダーという考え方も捨てて、人間同士という概念を育む教育が日本には必要だと思います。
ほかの作品もぜひ続けて読ませていただきたいと思います。
イカワ
作者からの返信
はじめまして、イカワさん。読んでくださってありがとうございます。
「雛鳥の葬儀」は兄の視点で描きましたけど、もしも弟の視点で描いたら、なんてことも思います。年長者の思いやりや気遣いって、意外と伝わってなかったりする場合もありますね。
「ヨブのごとく」の語り手は、ずっと怒りつづけているような人物になりましたけど、くじけずに生きてほしいです。
少しでもこころを動かせたなら、嬉しいです。ありがとうございました。
企画から来ました。なたこです。短編集ということなので、2話についてのみ言及します。一人称で進行し、痴漢にあった”私”の感情をストレートに表現され、追体験させるような構成になっていました。”私”にとっては当然の行いも、他者から批判される。なんとも救いのない話だなと。痴漢行為を悪だと糾弾することは容易いことですが、生殖本能に基づいた行動なわけですから、消滅することは無いでしょう。それに発生してしまった心の傷は一生消えることなどありません。聖書を読む少女が一時でも、心の安らぎを与えてくれる存在となれることをお祈りするばかりです。
作者からの返信
読んでくださってありがとうございます。被害者の方が責められるような、理不尽な仕打ちには胸が痛みます。痴漢行為が滅ばないなら、生殖行為が滅びてくれないかな、とか極端なことを考えるときがあります。敵ではない人間がひとりだけでもいてくれるなら、それはこころの支えになるのではないかと思います。コメントありがとうございました。
自主企画から訪問させていただきました☆
https://kakuyomu.jp/user_events/16816452219872769447
前回に引き続きご参加ありがとうございました!
前話の雛鳥の葬儀もとても面白かったですが、このヨブのごとくもとても興味深く拝読しました。
前話同様、主人公の周囲に起きた小さな世界の出来事なのに、その掘り下げ方は無限に深く、本当に引き込まれるように読ませてもらいました。
「死」というテーマのせいもあり、昔国語の時間に読んだ志賀直哉の「城の崎にて」を何となく思い出しました。
今回は、主人公の抉るような精神描写に圧倒されました。
漱石のエピソードから古今の痴漢事情に思いを馳せ「顔のない不気味な手は、百年経っても息絶えない」という言い回しにいたるあたりは、何か鬼気迫るものを感じて思わず唸らされました。
短絡的で直情的で攻撃的な……など、トートロジーを利用した心理描写も迫力があってよかったです。
不条理に憤る気持ちはわたしも共感できます。
でも、怒りって、抱き続けるのはパワーが要りますよね。
わたしは我慢強さがないので(笑)、すぐに「まいっか」と忘れるように努力しますが、引き摺る性格でもあるので、実はいつまでもウジウジ忘れられてなかったりもします^^;
自分の正しさをずっと訴え続けるって、当然のことのように思えて、実はなかなかできないことです。
傷害沙汰は決して褒められたことではなりませんが、痴漢の手首を刺した主人公にカタルシスを感じたのもまた事実。
自分はヨブになれるとは思えませんし、なりたいとも思いません。
けれど、ヨブから力をもらえたし、応援したいなとも思いました。
長文失礼いたしました。
企画の方にもまた、お立ち寄りいただけましたら幸いです(*ゝωσ)✧*。
作者からの返信
前話に引き続き読んでくださって、ありがとうございます。小さな世界を深く掘り下げる、というのは目標としているところでもあるので、大変に嬉しいお言葉です。トートロジーは、自分の文章の癖で、ついつい使ってしまいます。
作者も、すぐに諦めてしまうような淡泊な人間なのですが、登場人物はなぜだか直情的になったり諦めない人柄になったりします。そういう人に憧れがあるのかもしれません。
痴漢をなくすのって不可能なのでしょうか。百年後、もしも痴漢がなくなっていたとしたら、それはどんな社会なのでしょうね。
またしても丁寧な感想をいただけて、とても嬉しいです。ありがとうございました。
koumotoさま、コメント失礼いたします。
1話目の「雛鳥の葬儀」そして「ヨブのごとく」読ませていただいて、どちらのお話も胸を鷲掴みされるような、鈍った頭を殴られるような、その衝撃で言葉も見つからないような、そのくらい深く深く感動しました。
分かりにくい表現で申し訳ありません。
それぞれの主人公の心情、彼や彼女を取り巻くそれぞれの小さな世界と流れる日々が、深すぎず重すぎず、でも鋭利に突き刺さるように描かれていて、引き込まれるようにして読んでいました。
心が痛むことも多く「死」は常に近くを、又は自身の中を漂っているのですが、だからこそ「生」を感じずにはいられない、そう感じられました。
とても素晴らしい物語だと思います。
読ませていただきありがとうございました。
作者からの返信
読んでくださってありがとうございます。作者にとっても、自分なりに想いを強く込めた作品なので、こんなに丁寧なコメントをいただけて、とても嬉しく、励まされます。少しでも、こころになにかを残せたらなと、そんな物語を描けたらなと、そう願っています。温かい感想、本当にありがとうございます。
人の多い町に住んでいたので、電車で痴漢もどきに遭ったことがあります。相手は年をとったおじいちゃんでした。若い女の子のお尻触るしか、楽しみがないんだな……と思ったものでした。
最初は、まあいっか、減るもんじゃないしと思ってスルーしていたのですが、途中からムカっ腹が立ってきて、やめてもらいました(笑)
作中の言葉の「人格を認めない手」というのは、これ以上ないほどぴったりの表現ですね。それに、「刺される覚悟もなしに、他人に触るな」という主人公の主張も、一女として、わたしは心から同意します。(危ない人!?)
似たフレーズで、『血祭り』の「殺すのなら、相手を取り込む覚悟くらいしてろよ」のセリフも、わたしはとても好きです。
引用されている聖書の言葉が、とても身に染みますね。
自分自身も、この主人公のように「短絡的で直情的で攻撃的な人間」なので、とても共感できるお話でした。
女性が社会に対して抱く不満を、たくみに表した素晴らしい作品だと思います。
作者からの返信
読んでくださってありがとうございます。腹が立ちますね、それは。痴漢というのは非常におぞましい行為だと思うのですが、多くの女性が被害を経験しているようなので、やはりそれは異常な社会ではないのかと思ってしまいます。
自分は男ではありますが、自分も属する男という生物はなんでこんなに醜悪なのだろう、なんでこんなにおぞましいのだろう、とよく考えてしまいます。
刺される覚悟もなしに触るな、というのは極論かもしれませんけど、でも本音ですね。こころの底からそう思います。人の大切な領域を身勝手に安易に侵犯するなよ、と、強い怒りを抱いてしまいます。
なんだか自分は女性の語り手を書くと、すべてを諦めているか、すべてに怒りを抱いているか、どちらかになりがちなのですが、この作品は怒りの方ですね。自分なりに率直に表現できたかな、と作者も気に入っています。『血祭り』についても言及してもらったり、詳細で丁寧なコメントで、とても励まされます。何度目のお礼になるかわかりませんが、本当に嬉しいです。感謝です。