第3話 あいどる



僕は年に一回ほど何かに猛烈に感動することがある。そのものとは様々で、去年は久々に読んだワンピースだったし、その前の年は部活の先輩の試合だった。また「君の名は。」が公開された年は運命の手の届かないところで恋する二人に感動し、毎朝起きるたびに入れ替わってないことに落胆する日々を過ごしていた。


まあ見ての通り僕は一般に人が感動するものを見て、「これ、いいな、、、」と感動するタイプなのである。平たく言えば普通なのである。

だからこそというか流行り物にはそこそこ積極的に反応していたのだが、そんな僕でも避けていたものがある。それがアイドルだ。


ここ最近、アイドルが広く一般的なものになったように思われる。少なくとも数年前ではそれに関して発言しただけでヲタクの烙印をおされてきたのにも関わらず、最近では有名俳優までがアイドルファンを公言するようになったのである。


何か変なプライドがあったのだろう、どんなに勧められてもアイドルのファンにだけはなるまいと僕の中に眠る頑固親父の片鱗がアイドルの画像さえも見ることを拒んだ。


しかし、そんな僕に転機が訪れる。大好きな芸人さんが冠番組のMCをしていると知ったのだ。その上に自粛期間とやらで膨大に時間があった。

それで少しだけその番組を見てしまったのだ………

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