救出と姫様2

「ここは・・」


目が覚める。


どうやら知らない天井のようです。


私は起き上がり馬車と思われるところから降り火の光の照らす二人の男女の元へと向かった。おそらくこの二人がドラゴンから助けてくれた方なのでしょう。


「あ、あの。」


私は声をかける。


「ん?あぁ目覚めたのか。どこか痛いところとかはないか?」


「一応回復魔法をかけて置いたから大丈夫だと思うけど?」


二人は助けてくれた上に回復魔法まで掛けてくれたようだ。


「はい。大丈夫です。」


「そっか。それはよかったよ。それで君の事を聞いてもいいかな?」


私はギュッと服を掴み俯いてしまう。


「言いたくなければそれでいいんだよ?」



優しい言葉をかけられる。私はどこか緊張してしまっていたのでしょう。


「いえ。そういうわけではありませんので大丈夫です。私はエマ・ゼイルカーザ。ゼイルカーザ王国第二王女です。」


そう伝えるとそっか王女様か~とかなり薄い反応をします。

普通の人なら驚きヘコヘコした態度を取ってくるのですがこの二人は違うようです。なんだか心地いい。


「私は王都に帰るためあの道を進んでいたのですが・・・」


「その途中でドラゴンに襲われたわけか。」


途中涙が出てしまった私の言葉の続きを理解してくれる。


「はい。それで暑苦しいお願いで申し訳ないのですがどうか私を王都まで連れてっては貰えませんか?」


私は恥を忍んでお願いする。


「いいよ。」


「用事が済みましたら私を自由にして構いま・・・え?今なんと。」


「ん、だからいいよって。」


「本当ですか!」


私はあまりの嬉しさに男性に詰め寄ってしまう。


「ちょっと!アストから離れてください!」


「あっすいません!興奮してしまって。」


反省する。二人はおそらく夫婦なのでしょう。少しこの女性が羨ましいです。


「俺がアスト、でこっちがフィリア。よろしくねエマ。」


アストさんそれがこの方の名前。私は知らず知らずのうちの初恋をしてしまったようです。


その日は女性陣が馬車でアストさんだけ外で寝ることになってしまいました。


私が外で寝ると言ったのですが女性なんだからと中で寝るように言ってきます。フィリアさんも誘ってくるのでお言葉に甘えて馬車で寝ることにしました。


寝る前にフィリアさんが話しかけて来ます。


「エマさんもしかしてアストのこと好きになっちゃった?」


「えっ!そ、そんなことないですよ。」


私はとっさに誤魔化しますが誤魔化しが下手だったかもしれません。すぐにバレてしまいました。


「確かに私とアストは結婚してるわ。でもねこの国というか殆どの国で一夫多妻を推奨しているわ。そして強く優秀な男は多くの女性を囲い優秀な子供を残す必要があると思うは、それはアストも当てはまるの。だからもし諦めないというのなら私は応援するわ。もちろん一番は私のものだけどね?」


なんとフィリアさんは私の気持ちに気づいてしかも応援までしてくれると言ってくれました。


「ありがとうございます!」


一目惚れの初恋は泡のように消えると思っていた私は次の日からアピールしようと決意しその日ほ眠りにつくことにしました。


次の日から王都に向けて再び出発します。

早く王都に帰らなければなりません。出ないと彼女が・・・でもと私は彼女の事を思いながらもアストさんのことも考えてしまいます。


それから数日フィリアさんも交えながらアストさんとの中はどんどん違くなっていったと思います。今ではフィリアさんがいなくても二人で従者席に座るくらいにはです。


私の事を意識させるためにちょっと勝負を仕掛けます。これはちゃんと事前にフィリアさんに許可をいただいているので問題ありません。


私は彼の肩に寄りかかります。


「どうしたの?」


流石に声をかけて来ました。


「いえ少しこうしたくなっただけです。」


そのまま日が沈むまでこうしています。


流石に野営の準備があるため離れますがここからはフィリアさんに頼んであります。なので私は料理をつくります。


頼みますフィリアさん


任せて頂戴エマさん


すでに女子の絆は深く繋がってますので心で託しました。


・・

・・・

・・・・


俺はいつも通り馬車をベットにしてそれから俺用のテントを建てる。


最近女子達がやけに仲良くなっているようだ。まぁそれ自体はいいことだと思うがエマが俺にかなりひっついて来るのだ。それを拒めない俺はかなり最低だと自分でもわかっているのだがそれでもフィリアはなにも言ってこない。最近はエマの加入であれもご無沙汰になっているので少し怖い。


「アストテントの準備は終わりそう?」


「フィリア・・」


「どうしたの?もしかしてエマのこと?」


彼女はやっぱりわかっているようだ。


「いやその。」


「彼女のこと好きになった?」


「え?」


「最近エマとの仲がかなり近くなったもんね。」


「いやそんなことは。」


俺は冷や汗をかく。もし彼女に嫌われでもしたら俺は死ぬ自信がある。


「ふふふ。攻めてるわけじゃないんだよ?」


彼女はそう笑う。


「私はねエマとも一緒になってほしいって思ってるの。彼女はよく働くし聞けばセカンドスキルホルダーみたいだからね、彼女にも言ったんだけど優秀な男は多くの女性と関係を持ちより多くの子供を残すべきってね。だからエマをけしかけたのは私なんだ。まぁエマがアストの事を好きだって思ってたようだからね。」


どうやらそうらしい。俺はフィリアの手の内で踊らされているようだ。


「え?そうなのか?」


「そうだよ。だからねたぶん親愛の指輪作れるんじゃないかな?ほらエマの事を思って作ってみて。」


「う、うん。」


俺は言われるがままに親愛の指輪に思いを込める。


すると掌にもう一つ親愛の指輪ができていた。


「出来た・・。」


「ほらみて私の指輪は壊れてないよ。」


そう言って指輪のついた手を見せて来る。


「でもね一番は私じゃないと嫌だからね。」


そう言って小悪魔のように微笑み彼女はそっと口づけをして来た。


・・

・・・

・・・・


それからフィリアはエマを連れて来ると私は馬車にいるねと去っていった。


残された二人。


少しの間沈黙が続く。


「「あの!」」


「アストさん先にどうぞ」


「いやいやエマこそ先にいいよ」


「「・・・」」


再び沈黙。そして先にエマが喋り出した。


「アストさん!私はアストさんのことが好きです!ドラゴンから助けて貰ったあの日一目惚れをしてそれから王都へ向かうこの数日間で貴方のことが愛しくなりました。でもフィリアさんという素敵な女性がいることから諦めかけましたが彼女からの押しがあり諦めなくて済みました!だから私は諦めません!必ず貴方のお嫁さんの座に座って見せます!」


彼女は言い切ったようではぁはぁと息を切らす。


「俺もエマのことが好きだよ。俺もこの気持ちを気付かられたのはフィリアなんだ。彼女の押しがあって俺は君を好きになっていいて教えてもらえた。男としてこれでいいのかと思う気持ちもあった。けど今は男として二人とも幸せにすると誓うよ。だからこれを受け取って欲しい。」


親愛のの指輪を取り出す。


「これ、は?」


「これは親愛の指輪。俺の持つ本体と対になってるもので両思いでないと指輪は出来ず付けれないってものなんだ。」


「親愛の指輪・・」


彼女の左手をとり薬指に嵌める。


彼女はその指輪を眺めてそしてこちらを向き直し彼女の方からキスをして来た。


・・

・・・

・・・・


二人揃って馬車に向かう。フィリアとはしたけれど彼女とはどうしようと考える。彼女はプロポーズし結婚したとはいえ王女なのだ軽々しくしてもいいのだろうか?


そう思っているとフィリアの方から言ってくる。


「アスト今日はちゃんとエマを愛してあげるのよ?今日だけは二人の時間を許してあげるんだから。けど明日からは私も一緒だからね?」


そう言って俺が寝ていたテントに向かう。


「アストさん・・・」


彼女も求めるように目を閉じる。


ドクンドクン


心臓の鼓動が早くなる。


すでに息子は準備万端だ。


俺はエマと抱擁しキスをする。


そして彼女を優しく貫いた・・・


・・

・・・

・・・・


「二人ともおきなさい。」


フィリアの声で目が覚める。


「おはようフィリア。」


フィリアと目覚めのキスをする。


「おはようございます。アストさんフィリアさん。」


エマと少し辿々しいキスを交わす。


少し恥ずかしがる姿は可愛い。


「アストちゃんと優しくしてあげた?アストは強すぎるんだから女の子が壊れちゃうんだからね。エマ大丈夫だった?」


「えっ。あっはい、ちゃんと優しくしてもらえました。」


「それはよかったわ。なら合格点ってところかしら。」


ふふふと笑いご飯が出来てるとのことなので朝食をいただき再び王都へ向けて出発した。

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