相談者 白鳥 小鷹/相談内容 恋愛相談

白鳥さんの恋愛相談part1

 放課後の校舎。誰一人として知り合いと会わない程に時間が経ち、日が沈み夜を知らせるそんな時間に白鳥しらとり 小鷹こだかはとある教室の前で立ち往生していた。

「本当にあったんだ・・・・・・」

 下校しようと下駄箱の扉を開けた時一通の赤い手紙がローファーの上に添えられていた。

 差出人は相談部。

 逡巡したもののこの機を逃す事も出来ない白鳥はこうして手紙に書かれていた時間通りに教室に来たがここに来て躊躇ってもいた。

 誰とも知らない人にこんな話をしてもいいのか、事情も知らないような人に話して何か解決するのだろうかと。

「いつまでそこで立っている気ですか?中に入ってきてくださいよ」

 教室の中から中性的な声が白鳥に向かってそう言ってきた。

「し、失礼します――え?」

 声を聴いた白鳥は半ば自棄になって扉を開けて中へ入る。

 大量の机と椅子が規則正しく並べられた中で麻袋を被って川城高校の制服を着た人が中央の席に座っていた。

「どうかしましたか?そちらへおかけください」

「は、はい・・・・・・」

 言われるがままに白鳥は麻袋を被った者の指す教卓の席へ座って相対する。

「あの・・・・・・・これって?」

 状況を掴めていない白鳥が困惑する中、麻袋を被った者は淡々と進行していく。

「相談部の者です。プライバシー保護という関係上私は麻袋を被っています。勿論こちらからあなたの顔は見えませんし貴方の方も私の顔を見えていない対等の条件です。よろしいでしょうか?」

「あ、はい」

 流されるままに白鳥は返事をする。

「それでは次に、私はあくまで貴方の相談を聞きくだけであって何か動くわけではありません」

「それって相談する意味無いんじゃ――」

 白鳥が口を挟んでそう言おうとするが麻袋を被った者は続けて

「ですがそれでは解決しないと言う方々もいますのでもう一つ、依頼料が発生しますが私が相談事を出来る限り解決に向けて援助する方法も用意してありますので先ずは相談内容を話していただけなければどうすることもできません」

「依頼料・・・・・・いくらなんですか?」

 金を奪うだけ奪って何も解決しない詐欺師でないのかと疑惑を抱く白鳥が尋ねると

「あ、この言い方は語弊がありますかね、依頼料と言ってもお金じゃありませんよ」

「なら何を――」

 益々怪しい麻袋を被った者が次の瞬間、とんでもなものを要求してきた。

「貴方の定期テストの順位です」

「何よそれ!貴方私の事馬鹿にしているんじゃないでしょうね!」

 あまりにもおかしく、馬鹿にしたような言葉に憤りを覚えた白鳥がそう怒鳴ると

「これはあくまで部活の域です。誰かから金をとるなんて事はできません。ならばその人にとっての大事なもの、そう、順位を依頼料として頂こうという事です。決して馬鹿にしている訳ではありませんよ。それとも何ですか?貴方は巨額の依頼料を私に払えると言うのですか?」

「それは――無理だけど・・・・・・」

「ならばいいじゃないですか、ここは私の言葉に乗っかっておきましょうよ」

「・・・・・・分かったわよ」

 完全に口達者な麻袋を被った者に主導権を握られてしまった白鳥は渋々受け入れる事に。

「それでは話してもらえますか?その後にでも貴方は私に依頼するかしないか考えてもらって構いませんので」

 ここまで来て話さないで帰るのも何だか嫌であった白鳥は自身の相談したい恋愛について語り始めた。

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