Komödie

@ruirurimk2

第1話

「きわさん?常葉さん… ?」

いつの間にか惚けていたようだ。慌てて現場を把握することに努める…というもの現状は一言で表すならば『紅』だったのだ。5畳半程度のこじんまりとしたアパートの一室が、壁が

、天井が、そして今立っているブルーシートの下にあるはずの床も。

「本当にこれは人間なの?」

果たしてこの質問も何度目であろうとも、鑑識班長は丁寧に答えてくれた。

「そのようです。」

たった6文字の言葉が穂村の思考を再び停止させた。




《序章;Flüstern der Jungfrau【聖母の囁き】》



私の初めての事件から早くも3年が経とうとしていた。最初の1年は私にとって公安3課ーー時計塔ーーの在り方を教えてくれ、次の1年は私の立ち位置を確立した1年だった。最後の1年は…抗争の1年だった。


『聖処女戦争』


同期は殆ど死んだ。初めての捜査で隠密行動を教えてくれた先輩も、私を姉のように慕ってくれたあの子も。


今思い返せば争いの火種はすでに撒かれていたのだ。






世界線の説明を一つ。

流れをぶった斬ってしまい、申し訳ないです。作者のるいるいにゃーにゃーでございます。この世界は凡ゆる人が「異能」と呼ぶべき力を持っています。12歳まではその力は等しく、特徴もなく、統一されています。13歳になる頃に自身の精神性によってアイデンティティとも言える「異能」が決定します。

では、例を1つ。

明るく、間違ったことはきちりと否定できる少女がおりました。13歳をすぎ、発現した「異能」を用いて困窮するものたちに望むものを可能な限り与えていきました。そんな生活が半年過ぎた頃、彼女は部屋から忽然と消えていたのです。残されたのは部屋一面に飛び散った「赭」だったのです。

ええ。そうですとも。たとえカミがお与えになった力とて、代償なく振るうことはできないのです。ああ、彼女はどこへ消えてしまったのでしょうねぇ…。

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