第2章 第792の世界編

第14話 新世界の入口

ポータルの中に足を踏み入れるとそこでは、時の流れがよく分からない様子でまるで宇宙空間に来ているかのような感覚に陥った。


周囲に煌めく星々のような小さな光が照らし出されていた。


それ以外は闇に包まれていた。


私の体はただ一直線に進んでいた。


そしてたどり着いた先には小さな穴があった。


「ここが出口だな。」


【ここがその第792の世界への入口なの?】


「そうだよ。さぁ。オレの故郷を目に焼き付けてくれ。」


そういうとアグノはその穴へ入り込んだ。


穴から出ると目の前には噴水があった。どうやら広場のようだった。


噴水広場なのだろうか?


【ここってどこよ。】


「ここは大極東王国の王室属領、梁人やなとにある王族の城だよ。ここにシャロンは住んでる。そしてオレ達ロイヤルガードもここで護衛を務めている。ロイヤルガードはここへの出入りが許されている。」


【へぇ。よくわかんない事だらけだからなんか気になったら聞くわ】


「あぁ。いつでもいいよ。」


「そしてシャロン達はまだ着いてないのか。もう着いてるのか分からんが、まあ案内兼ねて調べてみるか」


【はーい。】


「その前に」


アグノは全身を顕現させた。


「これで元通りっと。」


【私の姿とあなた自身の姿をこれで変身できるようになったんだね。】


「そうさ。この世界に戻って来れたからあの世界での制約もなくなった。」


それから


アグノはゆったりと歩き出した。


【それにしても広い噴水広場ね。周囲の景色も見通しがいいし、植えられてる植物も綺麗。思ってたよりいいところに見えるけど今のとこ。】


「まあそんな期待するな。ここが1番綺麗なところだからな。」


【そんなに老朽化してるようにも見えないけどあっちの建物もこっちの建物も。】


「パッと見はな。中に入れば分かる。」


アグノは玄関前まで歩いてきた。すると、


「アグノ戦士長!ご無事でしたか!」


ゾロゾロと兵隊の様相を呈した人達が現れてきた。


「あーミツル。久しぶりだな。元気にしてたか?」


「こちら梁人。異常ありませんでした。隊長殿はシャロン王女を連れ戻してくることはできたのでしょうか?。」


「できたよ。まだ来てないのか?」


「まだお見えになっておりません。」


「なら待つしかないな。時間がかかる場合もあるし、まあ長くて1週間と言ったところか。」


「お疲れ様のご様子ですし、こちらで休憩なさってはいかがでしょうか?」


「1杯飲ませてもらうか。」


「みんな、戦士長のお帰りを楽しみに待っていましたよ。」


「オレもみんなと久しぶりに会えて嬉しい。任務を無事遂行できてよかった」


2人は杯を交わした。


一方、


「ここどこなんだよぉ!」


「皆目見当がつかないな。」


「みなさん落ち着いてください。きっとアグノさんとシャロンさんも近くにいるかも…」


葛城、晴人、紅音の3人もアグノに遅れて3人同じ場所に来ていた。


周囲を見渡す限り森林であった。どこからも隔絶されたかのような鬱蒼とした森だった。


「こんな森の中でいきなり迷子になるとはなぁ。ちょっくら飛んで空から確認してくるわ。」


晴人は翼を生やして大空へ飛び立った。


空から偵察しようとして見てみると、


「おお、あそこにでけぇ、城みたいなのがあるな。それに至るまでに街がある。この森抜けた先にあるし、割と近い。2人にも知らせて飛んでいってみるか!」


晴人は下に降りながら、叫んだ。


「2人とも!近くに街があるぞ!それにその少し先には城みたいなのがある!この世界の人に初めての接触だ!やってみないか!」


「こんなところに飛ばされたのは運がなかったと思ったが近くに街があるのなれば話は早い。シャロン様は有名なはずだし、知ってる人も多かろう。聞き取り調査してみてはどうだろうか。居場所を突き止められるかもしれない。」


「そうですね!とりあえず行ってみましょ!」


3人は街の方へ飛んで行った。


梁人内城の中…


ポータルが現れた。


その中から飛び出してきたのはシャロンだった。


「おお!城の中に飛び出るとは我ながら運がいい!。しかし、母上と父上に見つかればこっぴどく叱られるに違いない…」


【あなたをあの世界に連れていくことを止めれなかったのは私にも責任がある。2人で罰は背負いましょう】


そうだわね。と言いつつ、シャロンは歩を進める。






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