「大人は優しいのか?」
小学生になると私たちは祖父母と一緒に暮らすようになった。
祖母は厳しい時もあるが優しい人だった。
祖父は無口だがあたたかい人だった。
きっと私たちのことをちゃんとわかっていたんだろう。
祖父母と一緒に暮らすようになってからたくさんの愛情をもらった。
祖父母はまるで本物の父と母のような存在だった。
祖母はおいしくてあったかいご飯を作ってくれた。
祖母は天日干ししたあったかい布団で寝かせてくれた。
祖母は一緒にお風呂に入って遊んでくれた。
祖母は寝る前にたくさん子守歌を歌ってくれた。
祖母は郷土料理の作り方を教えてくれた。
祖父は車でいろんな所に連れて行ってくれた。
祖父は難しい勉強を教えてくれた。
祖父は本を読み聞かせてくれた。
祖父は私にたくさんの本を買ってくれた。
祖父は一緒に畑を耕してくれた。
何よりもたくさん褒めてくれた。
父は祖父母がいると何もしてこない。
たまに部屋に呼ばれて一時間正座で怒られることはあったが
今までのことに比べると何にも辛くなかった。
当時の私は気にも留めていなかったが、祖父母と一緒に暮らすようになってから
父はあまり家に帰ってこなくなった。
週末は朝早くから香水をつけて出かけ、帰ってくるのは日曜日の深夜だった。
それでもさみしさなんて何も感じなかった。
だって祖父母がいたから。
大好きな祖父母ととっても優しい近所の方々に囲まれて、幸せだった。
「大人は優しいのか?」
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