山飛竜編

 真っ暗な室内に、重い音が響く。

 ゴン、ゴンゴン。

 のそりと起き上がった影はおぼつかない足取りで歩き出す。パサパサと、のし、のしと。たどり着いた先には重厚な扉があり、まだ重い音を震わせている。

 扉の錠前を回す。そして影は肩で壁をスライドさせると一筋の光が差し込んだ。遅れて、隙間に滑り込む薄い長方形。

「飛竜ちゃん、あんたたちにお手紙。びりびりにしたら、だめだよ?」

 ふわりふわりと室内に侵入したかと思うと、冷たい床に着地する。半分閉じている目でじとりと隙間を覗けば、赤い羽毛の立脚類がいる。

「おっと、お昼寝してたかい? ごめんなさいね」

 内から現れた眼に気づく郵送員。器用な翼に何枚かの郵便物を持ち、眺めていたらしい。

「にしても、ドラゴンの国に知り合いがいたんだね。すっかり落ち着いてるらしいから、差出人に会ってみたらどう? あんたのダンナと一緒なら、怖いものなしだろうしさ」

 にこやかにさえずる彼女は一息に口にすると、挨拶もそこそこに飛び立ってしまう。屋内でゆっくりと瞬きを繰り返していた山飛竜は落ちた手紙の端を器用に咥え、部屋の隅にある作業台に置く。

 それから天井に向けてあくびをして、寝床へと舞い戻る。

 次に彼女が目を覚ますと、室内は真っ暗だった。正確には灯りがぼんやりと照らしているが、外からの光は全くない。

 身体を起こして、あくびをする。尻尾で寝藁を乱して、腰をあげる。歩き出した先には、たくましい背中を向ける土竜。

 静かすぎる彼のたたずまいに、首を伸ばして作業台を覗き込む。折り目のついた、文字ばかりの紙束が握られていた。

「ね、えらいでしょ。ちゃんと受け取ったよ」

 おう、と答える。だがその空色の目は羅列を追いかけている。

「ドラゴンの国からだって。郵便屋さんが、行ってみたら、だって」

 それもいいかもな。わずかに綻ぶ表情。

「おまえは、あいつに会いたいか?」

 会いたい、向けられた視線に身を乗り出した飛竜の胸板が椅子の背もたれを押す。なら決まりだな、と動じぬ青年は最後の一枚を上にして、鼻息を荒くする彼女の首筋に指を這わせる。

 紙の最後の一文の下には、かの国が掲げる印が押されており、親愛なるあなたたちにお会いできることを楽しみにしています、と締め括られていた。


◆◆◆◆


 ギルシェーシャのSRPG作りたいなぁ!! 今作ろうとしているやつを公開したらこっち作りたいけど、シール君たちが暴れるアクションも作りたいよぅ!!


 にしても今日は暑いですね。熱中症にお気をつけを!

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