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坊っちゃんがギルさんと共に、この場の中心であるテルさんに泳ぎを教えていらっしゃる。

デイル様は少し距離を置いて、こうしたら泳ぎやすいとか、お子さんにはわかりづらいことばかりを指示しておられる。

それに私も口を挟みたいところだが、骨格が異なることを考えると、やめておくべきだろうという判断に至った。立脚類が水面下でバタバタとするなど、テレア様に何を言われるか分からない。

他、ドラゴン二人は浜辺、竜二人は木陰から動こうとはしない。リエードさんはさきほど戻ってきて、川の水をのんびりと口にしているところだ。

そして、その体躯ながら器用に砂の彫像を作っているクトゥールは、私の隣で黙々と作業を続けている。

「あなたは、デイル様を見ておかなくていいんですか」

まるで興味がないといった雰囲気だが、この獣はデイル様以外に関心はないし、いつも自宅の工房に籠もっているようなやつだ。

すると彼は遠くにいる騎士団長を見つめた。濡れた砂浜に仁王立ちになって、他の三人を眺めている。

安全。クトゥールは呟いた。どうにか聞き取れるような大きさで、海にもう少し近ければかき消されたことだろう。

「そうですね。ここは安全でしょう。ドラゴン二人に、戦闘経験者が複数人。陸をさらうくらいの波でも来ない限り」

再び砂をいじり始めた獣は、それきり口を開くことはなかった。

クトゥールも私も、あの兄弟に拾われた身である。だが似た境遇だからなのか、ウマが合わないのか、私は彼が嫌いである。

無口。思考が分からない。遺産いじり。とろい。引きこもり。

それでも主に招集されたから隣り合わせになっているが、どことなく空気が張り詰めている気がしている。

世間話でもしにいこう。腰を上げてくるりと振り返れば、木陰でへばっている彼女たちのもとへと歩き出す。


◆◆◆◆


どこかでお話しましたが、インスとデイルは市場の話が展開する以前からいる持ちキャラです。デイルが兄、インスが弟の兄弟で、兄の背中をいつも追いかけている弟、というポジションはいつも固定です。

さて、ではタマモとクトゥールはといえば、兄弟を初登場させた話での、それぞれのコンビ相方でした。

インスは事故で両脚を失っていて、そんな彼に付きそう2尾の狐。デイルは任務を遂行するために活動していて、その補助役にいかつい獣っぽい人(??)。この獣二人は、市場にて初めて名前がつけられましたけどね。


名前の響きも気に入ってるからこそこの兄弟二人は今でも登場させているんだと思います。完成することのなかったRPGとかに登場させたりもしてました。

市場の次の話では登場予定もありませんが、また別の機会に登場することでしょうね。

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