第12.5話 文化の日の先輩と後輩
「文化の日なので大喜利もお休みですね、先輩」
朝起きてスマートフォンを開いてみると、そんな内容のメッセージが目に飛び込んできた。
時刻は8時30分。本来なら家にいると遅刻している時間だが、今日は国民の祝日なので学校が休みだ。
メッセージが届いたのはその10分ほど前だったらしい。休日のこんな時間から暇なのだろうか、と思う。というか結構早起きだなと思った。
「文化の日って何なのか分かるのか、佐藤」
とりあえずメッセージを送ってみる。返信は2分もすれば返ってきた。
「分かりません! なのでネットで調べます!」
「現代っ子め!」
そんなメッセージを送り合って、一度メッセージアプリを閉じた。
今日は学校が休みだ。そして部活もない。
だから、佐藤とは本来今日は会うこともなかったはずで。
――これは、佐藤のことを現代っ子めなんて馬鹿にできないな。
呆れたような息を吐いて、部屋の窓を見つめる。本来なら休日で話す機会のなかった佐藤とこうして学校がなくても話すことができるのは、現代機器の象徴の一つであるスマートフォンがあるからで。
ピコン、という音と共にスマートフォンの画面が光る。おそらく佐藤からだろう。休日だから面と向かって話す機会はない。
画面越しにはなるけれど、変わらず今日も後輩と意味のない問答をしようと、置かれていたスマートフォンを手に取った。
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