第16話 少し、息苦しくて

「……。」

「おはようございます、主。お水でもお持ちしましょうか。」

「……ああ。」

「直ぐに。」


 ホテルに着くと案の定、荷物を置いて直ぐに寝付いてしまった。

 ……やっぱり、嫌いだ。


「主、お水です。」

「……ああ。」


 髪がボサボサになっているのも気にせず、水を受け取る。

 それにしても……。


「後でシルアに謝らねば。折角用意してくれた服を無駄にしてしまった。」

「大丈夫ですよ、主。シルアなら快く受け入れてるでしょう。それと……主。」

「ぅん……?」

「お客様が。」


 客……?


「……通せ。」

「姉さん。」


 ……お前か。


「……何だ。」

「やっぱり、ホテルで寝ちゃったね。そうすると思ってそこの窓から姉さんが好きな花火やパレードが見える所にしたよ。」

「やっぱり……そう、か。」

「うん。でも、来てくれて本当に嬉しい。」

「……ルイス、茶でも出してやれ。」

「はい。」

「え、良いの?」

「お前の配慮と気遣いの礼だ。大人しく受け取っておけ。」

「うん!あ、そうそう。ルイスさんに姉さんが好きだった料理のレシピ、渡しといたからね。」

「……そうか。」

「今度のクリスマス、何が欲しい?」

「確か……2日後、だったか……?」

「うん。今までは誰も祝わせてくれなかったけど、もう邪魔する者は居ないからね。」

「先日の護衛はどうした。」

「再教育。しばらく穴倉から出てこれないね。」

「……そう。」


 空のコップをテーブルに置いてベッドに倒れる。

 ……眠い、眠い、眠い。


「ね、姉さん💦」

「……そうだな。」

「聞いてないでしょ💦」

「……プレゼントなんて、分からない。」

「!」

「私は……」

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