第15話 懐かしの故郷にて

「やーいっ、劣等種!!」

「王家の恥さらし!!」


 遠くで、幼い私に向かって石を投げてくる竜人の子が見える。

 うるさいな、私だって好きで蛇九尾に産まれたんじゃない。


「……鬱陶しい。」


 私は怒りに身を焼かれ、その子供と傍に一緒になってクスクス笑っていた大人を蹴散らした。幼少時より、私は力と知識は沢山あった。街に出れば差別を喰らう為、城内にある図書室でよく本を読んでいたが最近は父に「たまには外にでも行ってきなさい」と追い出されてしまった。

 出たって、辛いだけなのに。どうして、どうして分かってくれないんだ。ちゃんと抗議したじゃないか。なのに皆、父と母の前では良い子にして。汚い、汚い、汚い―――



「お嬢様。」

「……ん。シル、ア……?」

「うなされてましたよ……?」


 指摘され、座席に座り直して眉間を抓る。


「……大丈夫だ。」

「主。主は如何なさいますか?」

「……?」


 何を……?


「手紙によれば、国1番の高級ホテルの最上階ワンフロアを全て貸し切りだとか。」

「私はルーナと。ルーザはユルフと回ります。お嬢様はホテルでお休みになられますか?」

「……私が着いていかなくて大丈夫なのか?」

「ええ、徽章が人数分ございます。」


 ……成程。何だ、ちゃんと調べてたんじゃないか。


「……そうしてくれ。ルイス、お前は?」

「私は主のお世話を。ご安心を、私は1国の祭りよりも主のお傍に居る方が楽しいので。」

「……悪いな、気を遣わせて。」

「いえ、本心ですので。」

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