第8話 ハイエルフと交換で
「掛けると良い。」
青い髪に眼鏡を掛け、緊張した様子の男のエルフと共に来た白い布を羽織り、白い着物を着たハイエルフの大人しい娘が応接間のソファに腰掛ける。
……やれやれ、これはつまらん。
「して、何の用だ?お前達の方から此方へ来るのは珍しい。」
「初めてですよ、主。」
「ああ、そうだったか。昔はよく私の首を取りに来ていたのでなあ……。」
「えっ!?」
「まあ、今のこいつ等とは全く関係ないだろう。……で?」
「お、お願いがあって参りました、森の覇者よ。」
「願い。」
「近頃、エルフの子供が人間に攫われるのです……。し、しかし使い魔達を使っても見つからず、とても、とても心配なのです💦どうか、どうかお慈悲を。」
チラリと頭を下げるエルフの隣のハイエルフを見る。
「……それは、その願いを叶えるに当たっての代償かね。」
「は、はい。我等、エルフが“所有するハイエルフの中で1番力を持つ個体”にございます。どうか、どうかお慈悲を。」
“所有するハイエルフの中で1番力を持つ個体”、ねえ……。
「……主?」
「……良いだろう。ルイス。」
「はっ、何でございましょう。」
「そこのハイエルフを“シルアの部屋”へ。」
「!……はい、承りました。ハイエルフの娘、着いてきなさい。」
ハイエルフの娘は返事をせず、しかし大人しくルイスの後ろを着いて廊下へ消える。
……さて、と。
「子供が人間に攫われた、と言ったな。見つからない癖にどうやって人間だと?」
「目撃証言が、ございました。狩人の格好をした人間の群れがエルフの子供を6人攫って森の外へ消えた、と。……不思議な事に、我等エルフの足で追い付けないスピードで。」
……成程、これは……。
「……お前は村に帰ると良い。契約の対価は正当に支払われた。契約は完了した。私は結果を出すとしよう。」
「あ、ありがとうございます!」
今度は、どいつが供物になるのかな……?
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