第7話 新しい契約者と
「―――と言う事で宜しいのでしょうか。」
「ああ、構わん。……クク。たまには面白いだろう、あのレアな堕天使を飼い殺してしまうのだ。首輪を着けて、羽を頂き、従順に使役する。……何とも愛らしい玩具。」
「ええ、良いですわね。あの子、少しだけ屋敷の掃除を教えたら直ぐに覚えましたし。コロコロ変わるあの顔も大変愛らしい……。」
「では、あの子を殺さず、飼い殺す事に誰も異論ないな?……宜しい。して、ルイス。お前には1つ仕事を与える。」
「何でございましょう、主よ。」
「毎日夜の12時から次の日の朝2時までの間にエルフの集落の中心地の地下にある座敷牢に納められた供物を回収してこい。白い着物か、白い布に包まれている。もし、出来ていなければエルフ1匹と知識である本を1冊奪ってきて構わん。」
「承りました。」
「それと、それ以外に手を出す事は許さん。あれは供物を捧げる限り、私の庇護下。念の為に毎日長の元へ行って悩みを聞いてこい。畑に陽が当たらないだ、食糧が足りないだ、襲ってくる者が居るだ、何だと聞いてきて、私に報告せよ。契約通り、全て解決してやる。」
「はい、承りました。」
「後は……そうだな。ルーナの好物料理も作ってやると良い。あれも庇護下の者だ。しっかりと代償を先払いもしてくれている。」
「まあ……!」
「成程、主がそれだけご機嫌麗しい理由が分かりました。」
「そうだな、羽1枚に対し1日の命としよう。あの子はたった1枚の羽でその安全を得られるのだ。安全も、幸福も、全て。だが、それに見合った対価。実に良い。」
「契約は契約。まあ、私達もそのお陰で今まで以上に美味しい食事や沢山の道具を買い揃えられますから。」
「正当な対価かと。」
「エルフの方があの子より阿呆らしい。折角ヒントを出してやったのに仲間ばかり差し出して。嗚呼、愚かなり。……そうだ、ハイエルフも何匹か攫ってみようか。ルーナのように酷い仕打ちを受けた者程仲間にし易い。食費等は嵩むだろうが……まあ、それは一興。」
「あ、そうだ!時々そういうレアで、珍しい個体を捕まえては隷属、または調教しましょう!もっともっと楽しくなるかもしれませんわ!」
「そうだね、シルア。食べてしまうのは一瞬だが、隷属してしまえばそれが死ぬまで楽しみが保つ。……最後まで楽しみを取っておくのも楽しそうだ。」
コンコンッ。
「ん、どうしたルーナ。」
「か、カルストゥーラお嬢、様。」
思った以上によく似合うメイド服を着たルーナが入ってくる。
おー……。
「ルーナ、よく似合ってるな。」
「あ、ありがとうございます、カルストゥーラお嬢様💦し、シルアさんが……あ、合わせてくれました💦」
「サイズがかなり小さかったので一から作り直しましたの♪」
「「一から!!?」」
「ええ!お嬢様のお召し物も私が作った物ですし、ルイスのお洋服も然り。」
「……ま、街から買ってきているのかと。」
「え、ええ、私も。普通に買えば高い物をよくもまあ、何着も買えているなと……。」
「ふんっ、だ!お嬢様も、ルイスも酷い!裁縫とお洗濯とお掃除は誰にも負けません!」
「……成程。では、シルア。」
「はい、何でしょう?意地悪なお嬢様。」
ぐぅ💧
「これからもっと金が手に入る、それを使って各々の私服も作ると良い。」
「え、良いんですか!?」
「折角街に行くのに着飾らんでどうする。そのうちルーナを連れて街に行くようにもなるのだ、少しは飾って行け。その方がお前も楽に獲物を釣れるし一石二鳥だろう。」
「は、はい、お嬢様!沢山、沢山作ってお嬢様にも差し上げます!」
「……着て行く所などないのだが。」
「毎日同じ服なんてあまりにも面白くありません!お嬢様だけでも、色んなお洋服を着て下さい!」
「んー……それは私も賛成です。主の喜ぶ顔も好きですが、色んなお召し物を着た主を見てみたく思います。」
「わ、私も……み、見たい、です。」
「うーん……。」
……ああ、そうか。
「……そうだな。そのうち、誰かがこの屋敷に来て会談やら何やらをする機会があるかもしれんし、エルフの集落に行くのに服装を変えるのも良いか。……そうだな、シルア。何ならエルフの服も作ってやっては?」
「え!?」
「何かを対価に、な。別に金でも構わんし、料理や食材、本でも良いだろう。毎日供物を捧げねばならん訳だがずっと恐怖に苛ましているままじゃいざ苦しめた時に迫力が薄れる。まあ適当に可愛がると良いさ。」
「はい、お嬢様!」
「……あ。」
「どうした?」
「え、あ、とご、ごめんなさい💦じ、実は……え、エルフが来ていて……💦」
エルフが……?
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