第5話 耐えきれなくて

 食事を終え、2匹のエルフを地下の瘴気部屋に放り込み、鎖で縛った後。

 私は未だ眠り続ける堕天使の下へ向かう。

 私は1つ、思ってしまったのだ。

 「眠っているのならば少しくらい味わっても良いのではないか」と。

 大体、あんな美味しそうな物を3日も我慢出来る程我慢強くない。


「こーんばーんわ~♪」


 扉を開けて入るも目を覚まさない。

 ベッドに上がり、昏々と眠り続ける堕天使の脇腹に強力な眠りの呪文を掛けてから蛇のように絡みつくように抱き着く。

 ……甘い、匂い。

 この世界では、甘い匂いがする物は沢山の魔力を含み、優しい匂いがする物は脆弱で、こんがりとした鉄の匂いがする物は力が強く、軽やかな匂いがする物は極めて平均的な物が多い。

 とても長い髪の半分を蛇に変え、絡めて、縛って、魔力を吸う。

 っぅ……!魔力だけでも、こんなに美味しいなんて……!!

 カプリ、と首に噛み付いてやればそれはもう甘美甘美。

歯止めが利く今、何とか首から口を離して代わりにと絞め殺さんばかりに抱き着いてやる。

 羽だけじゃなくて、血や魔力も欲しい。心を奪って隷属してやろうか。

 ……そうだ。


「育て直せば良いじゃないか。」


 記憶も、力も、知識も、心も、全て奪って体も小さくして私の従順な僕として愛情を注げば良い。丁度人手も足らん。


「……頂きます。」

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