第4話 百合《最高のうちの妹》


 パフェを食べ終えると、何処か行きたい場所が無いか聞いてみた。


 ペットショップの入ったホームセンターか、ゲームセンターのどっちかだと思った。ゲームかホームか、どの道センターであることには変わらない。


 そうか、つまり百合がアイドルになったら、センターになるのは間違いないって事だよな。やはり世界一の妹なだけあって、とてつもなく大きな野望を持っているに違いない。


「かおりちゃんには聞かないの?」


「かおりさんはどっちがいい?」


 完璧な兄である俺様は、愛する妹の疑問には半端なく迅速に対応する。いきなり質問を投げかけられたミス・カオリーヌは、真っ赤な顔のまま身体を硬直させてしまった。


「……ど、どこって。わ、私……」


「お兄ちゃん近い!」


 百合の一言で、ようやく俺様は半端なく彼女との距離が近いのに気が付いた。いつも妹と接するような間隔だったため、流石の俺様もこれはまずいと距離を取って。次いでに百合の手を取った。


「失礼、マドモワゼル!」


 嬉しそうなピンクを浮かべた妹が、えへへと無邪気に笑ったから死んでしまいそうになった。


「うちの妹、最高じゃない?」


「……そですね」


 かおりちゃんが呆れた顔をしたから、どうしたものかと考える。いつもの事とはいえ、兄も姉も居ない一人っ子の前で見せつけてしまったのかもしれない。半端なく完璧な兄ならば、愛する妹の大事な人も大事にしないといけないのだ。


「はい、かおりちゃん」


 百合とつないだ反対の手を目の前の女の子に差し伸べる。彼女が少し戸惑いを見せたから、失敗したのかと思ったけど。暫くすると、そっと小さい右手を俺様の左手に重ねてくれた。


 妹が小さく微笑んだのを見ると、ピンクの花びらの周囲は白く染まっていた。この色はカノコユリで、花言葉は慈しみ。俺様の妹は最高だから、かおりちゃんの様子に慈愛を覚えたに違いないって思った。


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