第4話

 ドラマの放送が始まると、視聴率上位の番組にランクイン。期待の若手俳優のとして、紹介されている姿を見ると、再び母心、発動。


「がんばれ~、遼ちゃん!」


 思わず、手を握りしめながらテレビの画面にくぎ付けになった。教室のシーンになると、時々見切れて一馬の姿が映る。


「うーん、一馬もいい感じに映ってるじゃん。」


 思わずニヤニヤしてしまう。


 ピンポーン


 L〇NEの着信音。一馬からだ。


『俺、かっこよくねぇ?』


 ぷっ。自分でいっちゃったら、ダメじゃん。


『遼くんのほうがイケメン』


 返って来たのは、怒ってる顔のスタンプ。ついつい笑ってしまう。

 すると、見知らぬアカウントが、友達申請?


『RYOTYAN』


 ……まさか。


『美輪さん、よろしくお願いします。<m(__)m> 』


 ……フフフ、許可してやろう。


『よろしく~』


 返ってきたのは……かわいいキャラのスタンプの嵐に、思わず、王子様キャラはどこへ行った、と思ったのは言うまでもない。





 ドラマの撮影は終わったのか、その後、一馬からもエキストラの話は来なくなり、お茶の間ファンの私は、ドラマの放送で王子様キャラの遼ちゃんを応援する日々。

 L〇NEもあの日以来、一度も鳴ることもなく、まるで夢だったんじゃないか、と思い、王子様キャラの遼ちゃんを妄想することが楽しみになった。

 そんなある日。ドラマがエンディングに変わった頃に、久しぶりに一馬からL〇NE。


『明日の夜、暇?』

『なんで?』

『あのドラマの打ち上げなんだって。遼に誘われた。』


 ……たかだかエキストラに出ただけなのに?


『行ってくれば?』

『俺、未成年。保護者希望。』


 ……今さら、何を。と、思ったが、王子様キャラの遼ちゃんに会えるかもしれない、という欲がムクムクとわいてきた。


『何時? 場所どこ?』


 待ち合わせの時間と場所を決めた。一馬と一緒だと、またオカマキャラかな……?と、苦笑い。


 そうと決まったら、悪あがきタイム!!

 一馬は、あのままで十分、げーのーじんの中にいても負けないだろうけど、私は少なくとも努力の跡が見えるくらいにはしておかないと……一馬のマネージャーくらいには?(ああ、情けない)


 いつもより長めのお風呂に入り、しっかり、パック。まぁ……外見はどうにもしようがないので……それでも無駄な努力。




 寝る前に、スマホを見ると、L〇NEのマークがついてる。見てみれば『RYOTYAN』から。


『明日、会いましょうね~!』


 思わず、笑みが零れる。

 オカマっぽいけど、王子様キャラに脳内変換しておこう。

 いい夢が見られそうだ。

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