File0004 引き継いだ物語
ただ一つの願い
最後の羽根を集め終わったエディクは、洞窟の中の遺跡の跡地に、一枚一枚羽根を置いていく。
十二の羽根を集めればどんな願いも叶うといわれる言い伝えが真実なら、レンとまた会えるかもしれない。
友達とまた会いたい。エディクの願いはただ一つだった。
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長い長い坂を一歩、また一歩とソアは登っていく。この坂を実際に登るのは初めてのことだった。昔は博物館があったんだよ、と少年のような笑い方をしていたユセルの顔が思い起こされる。
入り口の大通りは、今はただ幹が生えているだけだった。特別目印となるものはなかったけれど、ソアは迷わずこの小径に入っていくことができた。忘れることはない、ユセルと出会ったのはこの丁字路のことだったのだから。
最近家に引きこもってばかりいたせいか、足が重い。それでもなおこの坂道を登ると決めたのだ。目指すべき旧博物館、今はIA電子資料館と名を変えた目的地は、この先にある。本来ならメールのやり取りで済むはずの話だったが、ソアはどうしても自分の目と耳と口で、話をしたかった。たとえどんな過酷な現実が待ち構えていたとしても。
ソアの友人、ユセルの小説を電子クラウドに残すこと。ソアの願いはただ一つだった。
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