え!? 私お母さんなの!?
「あ、こら ゆーくん、デートの邪魔しちゃ悪いよ」
先輩ナイス! と言いたいところだけど相手が雄二なら意味ないぞ……
「はーい、じゃあな紗月」
「え!?」
「ん? なんだ?」
「あ、いや…… 何でもない……」
あんまりにも雄二があっさりと引いたから驚いてしまった。
先輩チート過ぎるだろ……
「じゃ、じゃあ気を取り直して行こっか」
「お、おう」
こうやって知り合いに会うのが怖いから早く帰りたいのに……
まあ、三人も会えばもう誰にも知り合いに会うことはないだろう。
あれ? これってフラグじゃね?
「もう時間も時間だし夜ご飯も食べていこっか」
「じゃあ、フードコートに行くか」
「うんっ!」
俺たちは今いる場所から反対にあるフードコートに行くことにした。
誰にも会いませんように。
「あ、紗月にい」
「……はあ」
せめて心の中でくらいしゃべらせてくれ……
「人の顔見てため息とかひどっ!」
「あ、ごめんごめん! 今日はよく知り合いに会うなと思って……」
「なんだー、嫌われたかと思ったじゃん……」
「そんなこと地球が滅亡してもありえないぞ!」
「ならよかった!」
知り合いに会っていきなりため息つかれたら俺でもへこむかもな……
悪いことをしたな、蘭ちゃん。
「蘭ちゃんはこんなところで何してたんだ?」
「えーとね、お姉ちゃん待ちー」
「杏樹は買い物中なのか?」
「そうなのー! それで暇すぎるからちょっとの間一緒にいていい?」
俺的には全然いいのだが今日は未来と二人きりの予定だしな……
「つっくんが良ければ全然いいよー!」
「え、あ、うん 俺もいいぞ」
未来が乗り気なんかい。
まあ、未来は妹居ないし蘭ちゃんが可愛いのかもな、実際俺もだし。
浮気じゃないからな、父性的なことでだからな。
「やったー! 紗月にい達はどこか行こうとしてたの?」
「ああ、お腹もすいたしフードコートに行くつもりだったぞ」
「じゃあ、フードコートに行こっか!」
「おう!」
なんか蘭ちゃんといると元気になってくるな。
セルフヒーリング妹なのかな、うちにも欲しい。
そんなことを考えながら三人でフードコートへ向かう。
「結構席埋まっちゃってるね」
「まあ、時間帯が悪いからな」
フードコートには夏休みということもあってか家族連れで賑わっていた。
「どうしよっかー」
「そこのお父さん、もう空けるから座るかい?」
三人席に座っていた老夫婦が席を譲ってくれた。
ありがたやー。
「ありがとうございます、トレーは僕らが片付けておきますね」
「ああ、ありがとね」
席を譲ってくれたんだ、このくらいはあたりまえだな。
さすが紳士って褒めてくれていいんだぞ?
「蘭ちゃん、未来、席を譲ってもらったぞー」
「あ、あの紗月にいのことお父さんって……」
ああ、言ってたな。
「わ、わたし紗月にいの子供に見えたのかな……?」
「うーん、社交辞令じゃないのか? 俺と未来がいて蘭ちゃんだったからな」
「え!? 私お母さんなの!?」
「まあ、そう見えるだろうな」
未来はそこそこ背もあるしな。
「えへへー、私がつっくんのお嫁さんかぁ」
「言っておくけどそう見えただけだからな」
「わかってるよー、それでも嬉しくって!」
そんなに嬉しかったのか、こんどハニーとでも呼んでやろうかな。
いや、やめておこう。
「何やっているのかしら? 新婚さん?」
「なっ!」
だ、誰だ!?
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