雄二ってロリコンなのか?

「未来! おい! しっかりしろ!」

 

 俺は倒れている未来に駆け寄り必死に呼びかける。

 なんでこうなっちまったんだ!


「むにゃむにゃ」


「あいたっ!」


 軽くどついてやった、心配かけやがって。

 まあしょうがないか、未来は徹夜慣れしてないみたいだからな。


「もー、痛いよー」


「なんでこんなとこでへばってんだー?」


「帰ってきてそのままバタンキュー」


「おつかれさま」


「あれ? つっくんが優しい、なんで?」


 そりゃそうだろ、疲れさせたのは俺なんだから。


「手伝うからご飯にしようぜ」


「つっくん照れてるー」


「キレるぞ」


「こわいなー」


 いつか本気でキレてやる、泣いても許さないかんな。

 橋本かー、やめとこう……



「それにしても今日は遅かったね、学校で何してたのー?」


 お前はおれの母さんかよ。


「ちょっと呼ばれてな」


「え、私以外の女? 怒るよ?」


 なんでそんな感がいいんだよ、他に雄二とか選択肢はあっただろ。


「未来が思ってるようなことじゃねーよ、ちょっと恋のキューピットになっただけだ」


「つっくんがー? 似合わないねー」


 笑いながら言うなよ、つっくん泣いちゃうぞ。



「そういえばつっくんってほんとに小説家さんなの?」


 うっ、やっぱりきたか……


「ほんとは、誰にも言うつもりはなかったんだがな、そうなんだよ……」


「小説家さんってなるのがすっごい難しいんでしょ!?」


 確かにそうだ、俺だってチャンスがあるごとに書き続けてようやくだもんな。


「すごい、のかはわからないけど俺は楽しくやってるぞ」


「また困ったことがあったら言ってね」


 おいおい天使かよ。


「そのたびに言うこと一つ聞いてもらうからね?」


 悪魔だった、それも魔王クラスじゃん。


「わかったから、誰にも言うなよ」


「りょーかーい」 


 腹もいっぱいになったしそろそろ寝ようか考えていると。


 プルルルルルル


 最近夜に電話が多いな。


「もしもしー」


「紗月ー、今大丈夫か?」


 なんだ、雄二か……

 正直眠いが少しくらいならいいだろう。


「二分な」


「相談あるんだけどさー、それも恋の」


 無視しやがった。

 え、なに、恋愛ブームなの?


「お、おう」


「三年の舞先輩ってわかるか?」


 ドンピシャやないかい。


「ああ、知ってるぞ」


「それなら話は早い、紹介してくれよ」


 それは全然かまわないのだが一つの疑問が出てくる。


「いいんだがひとつ聞かせてくれ」


「なんだ?」


「もしかして雄二ってロリコンなのか?」


「んなわけねーだろ! しばくぞ!」


「ならいいぞ、紹介してやる」


 友人がニュースになるのは嫌だからな。


「お、まじで! やっぱ持つべきものは親友だな!」


 彼女が欲しいと言ってる奴が何を言う。


「じゃあ、明日作戦会議な」


「あいよ」



 その夜、俺は考える。

 雄二と舞先輩の件はすぐ終わりそうだし、俺たちのことを考えなくちゃな。

 正直俺は未来のことが恋人というより本当の姉弟のように思っている、それに告白の件もほぼ強制だからな。

 ここらで一回関係性をはっきりさせないとな。


 ってもう明け方じゃねえかよ!

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