モテ期なのか?
「え? どういうこと?」
まあ、そりゃそうなるよな……
「今はそんなこと言ってる暇じゃないんだ! やるかやらないかどっちだ!?」
強気に言ったが仕方がない、時間がなさすぎる。
「う、うん! つっくんの頼みなら何でもするよ!」
「わかった! なら今すぐ母さんのパソコンを持ってきて!」
すぐさま駆け出す彼女、あとでどう説明したもんか……
「持ってきたよ!」
「よし、今から言っていくことを一言一句間違わずに書いていってくれ!」
「わ、わかった!」
書きながら話すのは慣れないが効率はずっといい。
「よく、書けたわね…… 正直私もびっくりだわ」
「間に合ってよかったです……」
編集さんに完成した原稿を送ったことを確認すると、どっと疲れが湧いてくる……
しかし今日は月曜日だ、学校に行かなくてはいけない。
未来はというと…… なんとかコーヒーのおかげで起きているみたいだ。
「つっくんー、がっこういこー」
「い、一緒に行くのか?」
「もちろーん」
未来よ、いつもの元気がないぞ。
「おはよー! 相変わらず眠そうだな紗月」
「逆になんで雄二はそんなに元気そうなんだよ」
「十時には寝たからな」
「早すぎんだろ……」
今日の授業はほとんど寝てしまった、しょうがないじゃん!
最近睡眠不足なんだから!
未来はというと昼ご飯ですら寝ていた、あとで何かおごってやろうかな。
「ねえ、紗月」
そこには昨日ショッピングモールで会ってしまった杏樹がいた。
「なんだ?」
「昨日のことは誰にも言ってないんだけどさ…… あんたたち二人とも眠そうじゃん、もしかして……」
「そ、そんなことはないぞ!」
「ほんとなのかしら?」
「ホントだって! 今日は課題多くてあんま寝れなかったんだよ」
これは無理があるな……
「まあ、いいや、二人に何もないっていうならね」
「もちのろんだよ、あはは……」
誤魔化せたのかはわからないけどとりあえず一難去ったな。
よし帰るかと思い机から教科書やらを取り出そうとすると
ポトッ
なんと手紙が落ちたではないか。
え、なに、モテキ到来なの? とか思っていてもしょうがない。
それにまだラブレターと限ったわけでもない、果たし状の可能性だっけあるわけだし……
読んでみよう。
紗月君へ
突然こんな手紙を出して申し訳ありません。
折り入ってお話したいことがあるので今日の放課後に空き教室で待ってます。
可愛らしい字でそう書かれていた。
うん、行くしかないな。 ちゃんと断るからな?
俺だってそんなひどい男じゃない。 けどせっかく勇気を出してくれたんだ、ちゃんと返事しなきゃな。
それにしても誰なんだろう。
ガチャ
と扉を開け空き教室に入る。
「あっ、来てくれたんだねっ!」
なんかちっこいのがいた、身長は150cmくらいだろうか。
「私は三年の吉野
先輩だった、ちっこいなんて思ってすみません。
「突然こんなことを言うのは変だと思うだろうけど私は雄二君のことが好きな」
「ごめんなさいっ!」
あれ? やっちゃった?
「えっ?」
「あ、いや、なんでもないです……」
「私は君の親友の雄二君が好きなの、それで君に手伝ってほしくて……」
なんだそういうことか、めっちゃ恥ずいじゃん。
「全然いいですよ、雄二にも彼女はできてほしかったので」
じゃないと馬鹿にし続けるからな、俺が。
それと面白そうだしな。
「え! ほんとにいいの!?」
「もちろんですよ、応援します!」
「ありがとね! じゃあ詳しいことはまた今度!」
先輩はスタタッとどこかへ行ってしまった。
それにしても恋のキューピットか…… 荷が重いな……
まあ、疲れたしもう帰るか。
「ただいまー」
あれ? いつもなら元気な返事が返ってくるのにどうしたんだ?
疑問に思ってリビングへ行くと
そこには床に倒れている未来の姿があった。
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