あのー……。2種立て続けとか辞めてくれません?

 とりあえずインタビュー企画に参加して、企画主PKTさん家のクストさんに勧められたから来たものの、この病院なんか変だよな……。

「なぁ。花子さん。この病院違和感ねぇか?」

「なんとなくわからないでもない。なんだろう。この感じ………………」

「まぁ一応なんでもありな強烈なお札はすぐに使える様にしてあるからギリギリどうにか出来るな」


 それにしても、待ち時間が長いな……。

「ごめん。花子さん。トイレ行って来ていいか?」

「良いけ────待って。私も行っていい? 男子トイレの中だけど」

「どうした?」

「なんとなく違和感の元がそこにある気がしたからさ」

「個室の外までな」

「了解」


 そして俺達はトイレに行った訳だが、用をたして気付く。紙がねぇ。

「花子さん。トイレットペーパー頼んで良いか? ちょうど切れてるみたいでさ。上から投げ入れてくれ」

「わかったけど、ちょっと待って貰える? そろそろ聞こえて来るはず……」

「なにg」

『赤いちゃんちゃんこ着せましょか』

「そっちならまだ良かったな。今からペーパー放り込むから拭いてすぐ出て来て。何も応えずに」

「わかった」


 トイレから出て花子さんに話を聞く。

「あれは一体?」

「『赤い紙青い紙』って呼ばれる怪異譚の派生種。私よりも多少なり歴史はあるみたい」

「流石はトイレに絡んだ怪異だけある。よく知ってんなぁ」

「それは、だって本職だもの」

「そりゃそうか」

「ただ、アイツ気を付けた方が良い。今回は黙って出ればどうにでもなる派生種だったけど、『赤い紙青い紙』そのものは赤青どっちの紙を選んでも殺されちゃうから」


 そうやって言われた俺はすぐに対策を考える。しかしなかなか良い手が浮かばない。あのお札は強過ぎるが故、今となっては使った方が状況が悪くなってしまう……。

「なぁ。花子さん。お前ってもしかしてアイツと話出来る?」

「出来なくはないかな?」

「じゃあさ。会話でアイツらを抑える事って出来るか?」

「やってやれない事は──多分無い」

「頼んで良いか?」

「了解」


 一応ここは病院という事だけに、大きく出る事も出来ないので俺が診察を受けてる間に花子さんにアレの対応をしてもらった。診察が思ったより早く終わったので様子をうかがいに行くと

『ギャッ。痛い痛い!!』

「まず手に持ってるモン離せや。あぁ?」

『わかったから、その固めを解いてくれ!!』

「じゃあまずそれを離せよ!!」

なんて会話が聞こえて来る。ドスの効いた声出てるけど花子さん、アイツ大丈夫か?


 彼女が言うには

「『赤いちゃんちゃんこ着せましょか』って言われたから、『着せてみなよ』って凄んで着せられかけた赤いちゃんちゃんこを引き裂いて避けたあと、今度はナイフを持った手が出てきたからソイツもねじ伏せて無理やり交渉に出てやった」

そうだ。ついでに赤い紙青い紙本体と危険度の高いその派生種の発生場所も吐かせてやったらしく、その情報を得れた。早めに仲間に情報回しておこう。


 診察の結果は特に異常無し。ったく。心配し過ぎなんじゃねえのか? まぁいいや。そう思いつつ出入口の自動ドアを抜けると玄関脇にある、桶で水を汲むタイプの井戸の傍で何かをしている女性が居た。彼女の脇には、お皿が重なっている。今度は『皿屋敷』かよ……。これの対応はごくごく簡単だ。

『お皿が1枚』

『お皿が2枚』


作者都合で途中略☆


『お皿が8枚』

うん。待ってくれ。いきなり8枚まで飛んだぞ。 なにがあった?

「ほら。そんな事気にしてないで。早くしないと『1枚足りない』って言われちゃう」

花子さんに怒られる。

『お皿が9枚』

「お皿が10枚」


 これで皿数えの張本人お菊さんは『あらうれしや』と言って消えて、万事解決だろう。

『あらうれしや。待って。数え間違えとかしてないよね。心配性だからいつまでもこうなんだろうけど、やっぱり不安なのよねぇ……。もう1回数え直そうかしら……』

「「は?」」

花子さんと盛大にハモリつつツッコミをキメる。


 そしてほんとにもう1回数え始めよったぞ。なんやアイツ。

『お皿が1枚』

『お皿が2枚』

『お皿が3枚』

『お皿が4枚』

『お皿が5枚』

6 platesお皿が6枚

!? 英語?

접시가 7 장お皿が7枚

??? 次は韓国・朝鮮語?

8 أطباقお皿が8枚

次はアラビア語かい!!

9 प्लेटेंお皿が9枚

10 ಫಲಕಗಳುお皿が10枚

tha mi toilichteあらうれしや


 すかさず花子さんが

「アラビア語以降は順に、ヒンディー語→カンナダ語→スコットランド・ゲール語だね」

と言う。俺含めて一体何者? 感が否めな過ぎない? なんて考えてられ無いか。

『もう1回だけ数えなおしておこう!!』

「早く消えなさいよ!!」

「はよ消えいや!!」

花子さんと揃ってツッコミを入れる。


 ちなみに先に断っておくと、お菊さんの奇行はこれで最後だ。衝撃的過ぎるが。

『お皿が1枚』

シュッ パリン

『お皿が2枚』

シュッ パリン

??

『お皿が3枚』

ポイッ ガシャン

???

『お皿が4枚』

ガシャン パキパキ

????


作者都合で途中略☆


『お皿が9枚』

コトッ バンッ バキバキバキ


 うん。待ってくれ。頭が追いつかないぞ? お菊さん今、ある皿全部割ったよな。そうだよな。

『………………ゼ↗ン↘ブ→タ↗リ→ナ↘イ→!!』

「「ヤケクソか!!」」

またも2人揃ってツッコミをお見舞し、偶然持っていた事に気付いた強制除霊用のお札を貼り付ける。お菊さん、そうでもしないと消えなかったろ……………………


 とりあえずこれでなんとかなったのか?

『赤い紙青い紙』の派生種の方は、花子さんが半ば無理矢理抑え、『皿屋敷』お菊さんは強制除霊でどうにかした。という事だ。今回はちょっと色々やり過ぎかもな。まぁどうにでもなったし良いか。

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