情報量の多いメリーさん

 Twitterを眺めていると、着信音が鳴った。非通知だ。とりあえず留守電に入るまで放置。留守電に録音が出来た、の通知が届いたから聴いてみよう。


「久しぶり私メリー。今、月に居て月兎に携帯借りてるの。便利ね。携帯って。まぁいいや。今から向かうわ。跳躍して」


 ツッコミどころ満載でもはや過積載だよ。楽しそうだから、片っ端からツッコんでみるけど。


 まず!! あんた芋焼酎BMXメリーかい!!

次!! 月に兎は居らんやろ!!

そんで!! 携帯の電波そこまで届くんかい!! あと地味に兎から借りるな!!

ほいで!! 月の重力は地球の6分の1とか言うけど、普通に飛んだら引き戻される!!

どうコッチに来るねん!! メリー!!


 一通りツッコんだ後色々こなして寝た。翌日また電話。


「もしもし。私メリー。今、宇宙を漂ってるの。暇だったから借りパクした携帯で電話してるわ」


 借りパクはアカン。それはやっちゃダメ。

ってか、この後の展開が気になるから非通知から登録に昇格させよ。


翌日。


「もしもし。私メリー。今、宇宙を漂ってるの。暇過ぎるのが嫌だから大気圏突入までの時間を1日早めるわ」


「…………。お前ホントにメリーなん?」


「わっ!! ビックリした〜。いきなり怒鳴らないでよ〜。そうよ。私が正真正銘のメリーよ」


「は〜ん。まぁ来てみりゃわかるか」


「アンタ絶対に殺すわ」


 怒り心頭と言った声で最後の一言を言われ切られた。


翌日。


ゴーーゴーーモシモシゴーーーーワタシメリー。ゴーーゴーーータイキケンニゴーゴーゴートツニュウチュウナノ


 燃えてる音で何言ってるか聞き取れん!!

にしても流石は月兎の携帯だけある。大気圏に突入してもなお通信が出来るのは凄い。


 いや!! そんな事より!! よく死なへんな。メリー。人工衛星の脱出カプセルだって様にするくらい高温になるのによくもまあ生身の体で…


 数時間後

「もしもし。私メリー。今、丁度着水したところだわ。イースター島の南東方向、南緯30度西経105度ら辺に今いるの。途中で防空システムに引っかかってミサイル何発か喰らいそうになったわ。これから泳いで行くの」

「もしもし。メリー? あのなぁ。流石にピー岡ピー造も止めに入りそうな事するなよ」

「赤道直下東経150度まで西に15度、北に10度の方向に行って、その後ハワイ諸島を経由して日本に行く55日の行程よ」

「1500m自由形男子の最速記録を参考にした速さで、日に18時間とか泳ぐ気なの!?」

「何? 悪い?」

「悪いって言うか、なんと言うか… まぁいいや。とりあえず船だけには気を付けろよ」

「わかってるわ」


 その後も毎日で近況報告がかかってくる。

ハワイに着いた時にはバカンスを楽しんだらしい。そんな報告いらん!! と言うかそもそも超遠距離な遠泳の報告とかなくてええわい!!


 そんなこんなで55日。海自の船やら潜水艦やらのスクリューに巻き込まれながらも、上陸してうちの近くに来たらしい。


「もしもし。私メリー。あなたの家の前に居るの」

「お疲れさん。出迎えの準備は整ってるよ」


「私メリー。今あなたの後ろに居るの。…………。あ。包丁忘れた。台所に包丁あるかしら」

「悪ぃ。自炊せずコンビニ弁当で済ますタイプだから包丁無いわ」

「わかった。今時そんなものなのよね。一人暮らしの学生とか。下手に料理するよりコンビニ弁当の方が栄養とかの観点からもバランスが良いし」

「へぇ〜。そんな事もわかるんだ。メリーさん」

「なんのこれしき!! で、包丁の代わりの物は無いかな〜。あ! あった」

と電話越しに聴こえた瞬間背中に衝撃がはしる。が、あまり強くはなく痛みもほぼ感じない。


【シャコッ シャコッ シャコッ】

この音はまさか……

やっぱりびっくりナイフかよ。通りで

「あれ? あれ? あれ?」

って聞こえて来る訳だ。

「メリーさん。それは、びっくりナイフって言う玩具だよ」

「そ……そんなぁ」

「あ。メリーさんメリーさん。赤のテープが巻いてあるやつはどう?」

「同じ奴じゃない」

「良いから刺してみてって」

「わかったわ… 何これ!! どうなってるの。赤くなってるよ。」

「ふっふっふっ。よくぞ聴いてくれた!! 中に刃の部分が収まるスペースがあるからそこに、血糊の詰まった袋を仕込んでおいたんだ」

「これ、面白いじゃない!! 貰ってっていい?」

「もちろん!! 他人を包丁で刺すようなことをしないって約束出来るんだったら、あげるよ。なんなら、刺したい衝動とかに襲われたら刺しに来てくれていいよ。それでなら」

「わかったわ!! 刺したくなったら刺しに行く。これ持って」


 もう1本同じやつ用意しとかなきゃ。











気が乗ったので作者後記


今回もメリーさんです笑

意外と記憶にある怪談話とかが少なくて、すぐに詰まってしまうんですよね〜。なんでまたメリーさんです笑

前回のメリーさんは一発目が長距離過ぎたので、今度は近めに、それでいてあとのネタに大きく影響しない様な所は? って事でスタートが月になりました。

最初は、

大気圏で燃えて海に落ちる→泳ぐ

だけだったんです。決まっていたのは。後はノリと勢いと処理に余ったネタを詰めました。


びっくりナイフの話は、リアルに出来ると思います。まぁ、やった事は無いんですけどね。ちなみに、もう1つ別の意味でのびっくりナイフもあります。壊れた事がきっかけで発見された、刃が飛ぶびっくりナイフです。グリップに隠れた刃の方のストッパーを取るだけで出来るので、こちらも是非。


個人的に驚いたんですが、こっちの方が意外と人気があるんですね。閲覧数約100件にしてメインで書いてる知り知れを超える☆8を記録しています。やっぱり予想外って多いもんなんですね。


ではではこの辺で。

また次回も。お楽しみに。

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