第1話 新生活

 ……翌日、フェアリーガーデン正門……



「新入生はフラワークウォーツ1Fのエントランスに集合してくれ!」


 やっとだ、やっとこの時が来た。今日から私は―――


「よっ、ファレム!」

「!?」


 黄髪で私と同級生のライニングトが私の背中を叩いてくる。


「よお、やっとだな。」

「そ、そうだね💦」


 うざい……。


「もう辞めなよ、急にやったら危ないでしょ💦」

「そうか?リーラスは大人し過ぎなんだよ。」

「でも怪我させたらどうするの?」

「しねぇーって。こいつ運動神経良いから。」


 ぶっ飛ばしてやろうか……。


「ライニングト、良い加減にしないと的にされるぞ。」

「そうそう、この前なんか右脇腹に回し蹴り入れられた癖に。」

「剣道の試合では毒を盛った剣握らされて一週間何も持てなかっただろ。」

「川に落とされたり。」

「去年は右足骨折したじゃん。」

「それ以上やると体に悪いわよ。」

「……。」

「クウォイン、プライム、ガクア、ブラックアイ、ホーレイ、イイル、スイーズン、もっと言ってやって。」

「いや、辞めとくよ。ライニングトの返り討ちも怖いし。」

「えー、つまんない……。」

「それより早く入ろ。」

「楽しみだな!」

「勿論!」


 フラワークウォーツ。

 そこはまるで王宮のようだった。様々な装飾が壁を彩り、天井にはダイヤモンド製のシャンデリアまである。

 そして、1階から2階までは吹き抜けになってる。


「これはなかなか……。」


 クウォインは宝石好きだからねぇ……。


「ここまでするのに幾ら掛かったか……。」

「あまり触らないでね~?」


 2Fから降りてきていた淡い赤色髪で胸ポケットの付いたローブを着こなした女性が言う。


「ご、ごめんなさい、つい💦」

「分かったならい良いよ~。」

「……?」


 クウォインはその女性の胸ポケットの紋章とその女性の肩に乗っている淡い赤色の猫が気になったらしい。


「その紋章とその猫は?」

「ああ、これ~?」


 その女性は赤い竜の描かれた胸ポケットと猫を指差している。


「はい。」

「そのうち授業で習うわ。紋章の方は入学式で説明があるわね。まずはこの後の種族割りね。じゃあ、また後でね~。」


 その女性はローブを翻し、エレベーターの方へ歩いていった。

 変わった人……。

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