第11話

 只今絶賛説教タイムです。



「ちょっと前からおかしいと思っていたんですよ。昔から活発なあなたが部屋にこもりっきりになる事があるなんて。あなたは今やこの国の王なのですからその自覚をお持ち下さい。若!ちゃんと聞いてますか!」


「クロノス様!お一人で外出など以ての外です!御身に万が一があれば私は、....私達は!一体どうしたらよろしいのですか!せめて私にだけはお声を掛けて頂いてもよろしいのではないでしょうか!そんなに私が信用できないのですか!クロノス様!ちゃんと聞いてますか!」



 冒険者ギルドを出たところでレーネに見つかり黙って外出したことがばれた。

 

城に連行され会議室で宰相のマークスとレーネに説教を受けている。二人とも鬼の形相だ。レーネなんて興奮しすぎてか涙目になっている。

 

 どうやら前々から薄々怪しんでいたようなのだが、前回抜けだしたとき外は雨で顔を泥で汚したのに気づかずこっそり部屋に戻ったのだが、メイド長のエマにそのことを指摘されはじめて汚れたことに気が付いた俺はしどろもどろでごまかした。どうやらその事を不振がったエマがマークスに報告したらしい。


 マークスは避難用の通路を知っている事から俺の行動に目星をつけ、通路の出口付近でレーネに待機するようお願いしたそうだ。

 

 レーネは俺が通路から出てきたのを確認し、気づかれないように気配を消しつつかなり離れた場所から俺を追いかけていた様だが途中距離を取りすぎていたこともあって俺に引き離されて見失い森をしばらくうろついていたらしい。

 

 森の中で俺らしき姿の人物を見たと狩りをしていた冒険者達から情報を得て森をうろついていると森を抜け帰路に付こうとする俺の気配を感じ街まで追いかけてきたそうだ。


 

 その後しばらく説教を受け、城からの外出禁止を言い渡された。

 避難通路の出口付近には当分兵士を配置して24時間体制で見張らせるとのことになった。そこまでしなくても...って言える雰囲気ではなかった。


 

 長い説教が終わりダイニングルームで今度はエマからの説教を受けながら遅めの夕食を取りその後、軍の訓練場へ向かった。一人で大丈夫だというのだが有無を言わさずレーネもついてきた。


 

 なんかいつもより距離が近い気がする。



「お~い、若。なんでもやらかしたそうじゃないですか」



 訓練場で剣を振るっているとルドヴィがにやりとからかうように笑いながらやってきた。片手に持つ皮の水筒を呷っていたが中身は酒だろうか。心なしか顔が赤い。



「なんだよルドヴィまで説教する気か?」


「がはは。儂はちょっと自分の訓練しに来たのですよ」


「酒を飲みながらか?」


「もう一線もしりぞきましたからなぁ。そろそろ古より伝わる伝説の秘剣、酔剣でも習得しようと思いましてな!」



 何言ってんだこのおっさん。



「伝説の秘剣...!?ルドビィ殿それは一体どのような剣なのですか?」



 レーネ。そんなにキラキラと目を輝かしても無駄だから。ないからそんな剣術。



「それにしても若も大変ですな。若ほどの実力となればある程度の強さの魔獣を狩らねばレベルアップも難しいでしょうからな。Bランク、或いはAかそれ以上でないと。しかし臣下はそれを許してはくれませんからなぁ。なんたって危険ですし」



「そうなんだよなぁ。正直Bランクでも上がりそうにないんだよ」



 俺はため息をついた。

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