第25話

小田原城。


天守閣付近で。


各陣営の魔法少女が何やら相談。


紗莉奈(さりな)

「利害が一致しないよね~。」

「派閥事に趣旨が異なるから。」


乃土香(のどか)

「じゃあすべて統一してしまうのはどう?」


千夏(ちか)

「えー?」

「そうするとチカのアドバンテージなくなるんですけど。」


紗莉奈ちゃん。

「派閥事に強みがあるからね~。」


乃土香ちゃん。

「でも統一したほうが簡単じゃない?」


千夏ちゃん。

「そうなるといろいろ変えなきゃいけないから面倒ですけど。」


紗莉奈ちゃん。

「私は権力の行使ができるから。」

「融通が利くこのままでいいかな。」


乃土香ちゃん。

「でもここまで小競り合いがあると。」

「いっそのこと統一しちゃおうよ。」


千夏ちゃん。

「古き良き伝統を変えるんですか?」

「劣化しませんかぁ?」


紗莉奈ちゃん。

「そもそも。」

「みんな自分に合うグループについているから。」

「統一なんて無理だよ。」


乃土香ちゃん。

「無理矢理合わせてもだめかあ。」


千夏ちゃん。

「合わない人とは関わらないのがルールじゃありませんかぁ?」


紗莉奈ちゃん。

「全員仲良くするのは不可能だから。」

「みんなそれぞれ違う場所にいる。」

「違う派閥にいる。」


乃土香ちゃん。

「そうなると終息がつきませんね。」


千夏ちゃん。

「無理矢理合わせることはできないから。」

「結局無駄話よね。」


紗莉奈ちゃん。

「幼稚園は卒園したはず。」

「子供の理屈で世界は動かない。」


乃土香ちゃん。

「いるよねー。」

「邪悪な奴とか合わない奴とか。」

「悪を知らない奴は善である訳が無い。」

「悪を知らないからそう言っているんだよ。」


紗莉奈ちゃん。

「みんな仲良く?妄想の典型じゃない。」


千夏ちゃん。

「相容れない。」

「まあ破談ってことですねー。」


乃土香ちゃん。

「まあそれぞれに分かれればいいし。」

「それで?なにが趣旨?」


紗莉奈ちゃん。

「まさか。」

「黙って他の娘たちを見ているつもり?」

「先手必勝。」


千夏ちゃん。

「なーるほど。」

「チカもそう思いますー。」


乃土香ちゃん。

「あんたら私のライバルだし。」

「一回は叩き伏せておきたい。」


紗莉奈ちゃん。

「前はよくもちょっかいを出してくれたよね。」


千夏ちゃん。

「あんたらの連中が最初にやりましたよー。」


乃土香ちゃん。

「まあここで叩いておけば。」

「後々大きな顔を出来なくなるでしょう。」


紗莉奈ちゃん。

「そういう所では意見が一致しているみたいですなあ。」


千夏ちゃん。

「あれー?」

「そのつもりで来たんじゃないですか?」


乃土香ちゃん。

「取り繕っておいたけれど。」

「それが目当てだったんじゃない?」


紗莉奈ちゃん。

「一回でも泥を付ければ後々。」

「私のモノになる。」

「決まったよね~。」


煙玉を足元に投げつけて。


スモークで包まれて。


散開。


紗莉奈ちゃん。

「アドウェルサス。」


大きな半透明なブーメランを形成して。


千夏ちゃんに投げつけましたが。


千夏ちゃんをすり抜けましたよ。


ブーメランは誘導されていて。


自由自在に飛び回ります。


別の方向にも千夏ちゃん。


千夏ちゃん。

「幻影に引っかかった。」

「そこだよね?」

「波動砲。」


水のような波動が中速度で発射され。


大爆発。


地面が陥没。


紗莉奈ちゃんはとっくに隠れていて。


再度ブーメランを誘導して。


千夏ちゃんに当て続けても。


幻影なのですり抜けてしまう。


乃土香ちゃんが。


紗莉奈ちゃんに後ろから接近してくる。


乃土香ちゃん。

「感電しちゃえー!!」


紗莉奈ちゃん。

「うわっ!」


紗莉奈ちゃん逃げ出す。


杖を振り回してくる乃土香ちゃん。


杖は電気を帯びている。


紗理奈ちゃん。


サイコキネシスで乃土香ちゃんを遠くに吹き飛ばすも。


着地されて追ってくる。


千夏ちゃんが横から。


乃土香ちゃんに波動砲を近距離で当てて。


吹っ飛ばしたが。


乃土香ちゃんは今度も見事に着地。


攻撃した瞬間に隙があり。


紗莉奈ちゃんのブーメランが。


千夏ちゃんに命中。


ブーメランには電気が流れていて。


千夏ちゃんは感電しましたが。


ダメージは少ない。


紗莉奈ちゃんが千夏ちゃんに追撃を入れようと。


手刀攻撃するも。


千夏ちゃんに避けられて。


素早く逃げられる。


さらに乃土香ちゃんが追い回してくる。


乃土香ちゃん。

「食らいなさい!」


紗莉奈ちゃん。

「きゃっ!!」


電撃の杖で叩かれて。


ギリギリで避けて。


叩かれた場所が爆発。


紗莉奈ちゃんが爆風で転倒。


千夏ちゃんが横に現れる。


フェイント。


乃土香ちゃん。

「このっ!」


千夏ちゃんの幻影に翻弄される乃土香ちゃん。


千夏ちゃんが後ろを取った。


千夏ちゃん。

「くらえー!!」


乃土香ちゃん。

「おっと!」


渦巻き状のバリアを発生させて。


その中に波動砲を吸引して防がれてしまう。


乃土香ちゃん。

「さあ終わりにしましょう!」


千夏ちゃん。

「あっ!そんな!」


追いかけっこになってしまいましたよ。


小雪ちゃん。

「なにやってんの!」


小毬ちゃん。

「やめなよ。」


紗莉奈ちゃん。

「ふたりも入ってくるのかあ。」


乃土香ちゃん。

「まあ程々でいいわ。」


千夏ちゃん。

「力の差を魅せつけたかったけれど。」

「いざ勝負してみると互角だわ。」

「残念。」


小雪ちゃん。

「なんでやったの!?」


紗莉奈ちゃん。

「それはそうでしょう。」

「いましか戦えない。」

「商売敵じゃないですか。」


乃土香ちゃん。

「早いうちにライバルを蹴散らせばいいじゃない。」

「いわゆる商売敵よ。」


千夏ちゃん。

「でもやってみると。」

「力の差が拮抗していて。」

「決着つかないですー。」


小毬ちゃん。

「ならここで剣を収めて。」

「いまは組織が不安定だから。」

「むやみにやったら損をするよ?」


小雪ちゃん。

「何かの思う壺だったらどうすんの。」


紗莉奈ちゃん。

「とりあいず解散するわ。」


乃土香ちゃん。

「そうね。」

「ここまで互角だと勝敗なんてないじゃない。」


千夏ちゃん。

「私としては本気を見たかったけれど。」

「力量ってここまで互角なのかあ。」


三人とも解散。


小競り合いはしばらく続いていました。


チャンスとばかりにライバルに仕掛けたり。


商売敵を叩き伏せておいて。


泥を付ければ。


自分が有利になるので。


宣伝とばかりに。


でも。


無暗に戦えば逆効果。


強者と強者が戦えば。


どちらが勝つかなんて結果論ですし。


いたずらに争いを広げる意味もありません。


なので。


決闘と称して戦うスタイルが定番になってしまいました。


平常時でも決闘は稀にあるものの。


ここまで堂々とやる派閥はそうあるものではありません。


力を確かめ合って。


最終的にどの派閥が統治者となるか。


それを決めようとしている。


久々の動乱期です。

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