第4話

映画館で話題の人気作。


でもちょっと低俗です。


玲奈ちゃん。

「芸術作品ではないですあれ。」


朱莉ちゃん。

「チープな映画。」


美桜ちゃん。

「楽しめれば合格では?」

「別に普通に観れればいいじゃない。」

「完璧な作品なんて実在しないんだから。」


渚ちゃん。

「それは大衆向け。」

「俗受けする下らないもの。」


百合花ちゃん。

「重箱の隅を楊枝でほじくる。」


玲奈ちゃん。

「玄人が観るものではないです。」

「庶民はそんなもの。」

「趣味が違ったのか。」

「増長しているのかどちらかですよ。」


朱莉ちゃん。

「庶民なんてあれで充分だと言いたいの?」


渚ちゃん。

「そこまで言ってないですよ。」


百合花ちゃん。

「人それぞれ意見が違うのです。」

「趣味じゃなければ他に行くべきです。」


美桜ちゃん。

「合わないものを無理に観てどうすんのよ。」

「悪口を言うよりは自分が支持できる作品を尊重すべき。」

「芸術的に有り得るかは別として。」


玲奈ちゃん。

「その点は公正であるべきです。」


美桜ちゃん。

「芸術としてどうなのよ?」

「それだけが評価のすべて。」


百合花ちゃん。

「それは賛同します。」


渚ちゃん。

「多数決でピカソやゴッホは決まらないですなあ。」


朱莉ちゃん。

「骨董品の価値が素人に分かるっていうの?」


渚ちゃん。

「そこまで言わないであげて。」


ショッピングモール。


装飾品が豊富。


フリーマーケットも開催されておりますよ。


玲奈ちゃん。

「貪欲。」


渚ちゃん。

「渚は健全な欲望に対しては警戒しなくていいと思う。」


百合花ちゃん。

「正解は無いですよ。」


美桜ちゃん。

「私の思考を検証するのは私しか居ません。」

「しかし私が私の思考を検証できますか?」


玲奈ちゃん。

「その辺はクリティカルシンキングで。」


宝石でも安いものから高いものまでいろいろあります。


宝石の髪飾りがありまして。


天然石ですよ。


天然石の髪飾りを購入して。


つけてみました。


朱莉ちゃん。

「あーなにそれかわいい。」


玲奈ちゃん。

「どういたしまして。」


百合花ちゃん。

「相変わらずお姉ちゃんはれなさんに惚れているのです。」


渚ちゃん。

「お姉さんは恋したことある?」


美桜ちゃん。

「私は恋を美化できない。」

「理性でそう出た。」


渚ちゃん。

「なるほどー。」

「姉妹でも意見はいろいろ。」


美桜ちゃん。

「旧式の価値観なんてこうあるべきとか命令形じゃないの。」


渚ちゃん。

「日本書紀では多様な価値観や世界観が認められているから。」

「人はフリースタイルってこと。」

「型はありませんなあ。」


百合花ちゃん。

「そのこうであるべきなんてものは誰が決めたのですか?」


渚ちゃん。

「なんとなくそうだから従ったみたい。」


美桜ちゃん。

「うわっ!思考停止のファシズムじゃないの。」


渚ちゃん。

「奴隷道徳に陥ったり。」

「畜群本能ってやつ?」


百合花ちゃん。

「とりあいずプライドだけは強いルサンチマンの価値観なんですよ。」


渚ちゃん。

「ああそう言ってやらないで。」

「あの旧式な人間達にはそれしか取り柄がないから。」


朱莉ちゃん。

「れなちゃんって美少女?」


玲奈ちゃん。

「美人と言われた事はありません。」


朱莉ちゃん。

「私も美人と言われた事なーい。」


玲奈ちゃん。

「極端にかわいくないそうです。」


朱莉ちゃん。

「程々にかわいいって感じ?」


玲奈ちゃん。

「なぜか美人にはなれません。」


朱莉ちゃん。

「なんかその辺微妙だよねー。」


体をくっつけ合って。


カバンとかハンカチを物色中。


百合花ちゃん。

「百合の咲く季節になりましたね。」


美桜ちゃん。

「ああしているのが好きみたい。」


渚ちゃん。

「見ていて面白いなあ。」

「女の子の新しい形。」

「女性も形を変える。」

「地形沿いに流れる水のよう。」


女の子も形を変えて。


女性も形を変えて。


世界も形を変えるごとに。


私達も形を変えなくてはなりません。


水は地形に沿うように。


私達も形を変えます。


世界が形を変える度に。


わたしは大事なものを失い。


新しいものを得てきました。


次もそうなりましょう。


百合が咲いては。


実りもある。


それが世界の答えです。

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