第6話 風呂掃除論

風呂にはカビが生えるものだ。


そもそも、空気中には様々な菌や胞子が飛んでおり、

人間だって、様々な菌との共存で生かされているのであって、

生死にかかわる毒性のある菌やウイルスは例外として、

完全な滅菌状態の方が異常なのである。


適度な「」と「」と「」という

カビ菌の成長に必要な3条件がそろっている風呂場など、

まさにカビ菌にとっては楽園であり、

彼らの完全排除など無理なことである。


要するに、風呂場を使う人間としては、

完璧な除菌を求めるのではなく、

「パッと見のきれいさ」さえあれば、満足すべきという事だ。


ちまたの洗浄剤は、「カビ菌」そのものを無くそうとしているが、

これは先に述べたように、無理がある。

また、カビ防止策として、

・風呂上がりに、風呂の壁の水分を拭きとる

・温度を下げるために風呂の壁に水をかける

のようなものを見聞きするが、

先の3要素の内の一つを排除するという意味では理にかなっているものの、

せっかくさっぱりしたのに、毎回風呂の壁を拭く作業するとか、

せっかくあったまったのに、水を浴びるような真似をするとか、

俺は、賛同しかねる。


「水分」や「温度」の要素を排除するのが難しければ、

後は「栄養」の排除を考えれば良いのだ。


では、カビにとっての「栄養」とは何かといえば、

石鹸やシャンプーの泡、人の髪や皮脂、それらのカスである。

風呂で体を洗えば、こういったものが、結構広範囲に飛び散る。

それらをシャワーの「お湯」で、流してやればいいだけだ。


重要なのは、その範囲。

結構な範囲に飛散り、棚等の凹凸があれば、その裏にも跳ねているし、

ドアの隅や鏡の廻り等、見落としがちなポイントにも注意することだ。


実は多くのカビ菌は、低温になると活動を休止するが、死ぬわけではない。

その意味で、壁に水をかけて冷やすのは、一時的な効果にしかならないのだ。

逆に、熱湯まで行かなくても、より高い温度になるとカビ菌は死ぬ。

その意味では、流すシャワーの「お湯」は、

できるだけ高めの温度の方が好ましいが、重要なのは「流す」事だと思う。



自宅に風呂がある生活になって、数十年。

俺は、今でもこれを実践している。


①風呂上がりには毎回、

 40度以上のシャワーで、壁一面当たり、30秒位かけて、

 壁の上から下に向かってお湯をかけて、石鹸カス等を流す。

 ※天井までかけると、かえって水滴が残りやすいので除外とする。

②棚の裏、ドアの隅、鏡廻り、水栓等、凹凸部にも注意してお湯で流す。


結果、自宅の風呂で

カビ取り剤を使用するような風呂掃除をする頻度は年に1~2回程度だ。

もちろん、俺の仕事だが。



「論」とは言いながらも、

俺は誰にも強制もしないし、共感も求めないし、反論も受け付けない。

ここにあるのは、

「俺だけが信じている正論」

である。

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