第33話

ハイパースクールなんて言われ方もする。


女子高。


一般的な勉強は少なく。


歴史上の人物から学ぶ事を徹底される。


学問について。


かなりの時間を裂く。


勉強と学問は区別されている。


今日は学校で「順正であること」が教えられた。


すみれ。

「大衆教育とは別物やね。」


あかね。

「自分たちで教材を作るのは辞めたみたい。」

「所詮は凡人の社会ですから。」

「それに気付いた創設者が。」

「試行錯誤して辿り着いた。」


すみれ。

「世界屈指の人材を育てるプロジェクトだっけ?」

「それ本当なの?」

「この学校財源が豊富みたいだけれど。」


あかね。

「高度化した文明では凡人なんて使い物にならないから。」

「早めに手を打ったとか。」

「先見の明だよ。」


すみれ。

「まだ一年生やけど。」

「半年で力が倍増したわ。」


あかね。

「使いこなせれば。」

「それに懸かっている。」


すみれ。

「勉強ではなく。」

「学問を教える学校ってわけやね。」

「格が違うわ。」


休憩時間は長く。


みっちり教えるのではなく。


余裕があるスタイル。


偉人の伝えた教えをそのまま解説して。


その文献が膨大なんですが。


教師が解り易く説明して。


身に着けていく教育方法。


ノートは不用品で。


説明の最後に。


まとめとして。


資料が渡されます。


一教科にたいして時間を必要としません。


次の授業は20分後らしいです。


すみれ。

「自習室があるのはいいわ。」


あかね。

「簡易的な個室だけれど。」

「フリースクールみたいに。」

「自由時間での作業には事欠かない。」


次の授業が開始。


内容。


客観主義として。


道理があって。


それに従っていることが大切。


道理は人が自由に決めることができない。


道理に従っていれば正しい。


道理に従わなければ正しくはない。


正しさについて人は自由に決定することはできない。


それに「知恵」について再確認。


最低限「明知」が必要になる。


国語辞典を有効活用する方法を指導されました。


すみれ。

「どこかで知恵を得たんで。」

「物事の理を判断できるようになって。」

「知恵という言葉の意味を知ったっきり。」

「いい具合。」


あかね。

「明知についても得られるといいね。」


すみれ。

「人知では限界があるもんやから。」

「明知を獲得できたら最高やなあ。」


自由科目に入り。


各自。


自分のしたい事をやります。


簡潔に教えてしまうので。


時間に余裕があるんですから。


こうした教育が可能なのです。


冗漫な大衆教育とは別物ですね。


放課後。


あかねちゃんが連絡していた。


シャルロッテと会いました。


すみれ。

「なにを見せたいって?」


シャルロッテ。

「女性の研究論文ダヨ。」


あかね。

「自分で女性について調べたんだって。」


シャルロッテ。

「ワタシモ女性だからネ。」

「己を知るワケデス。」


すみれ。

「見せて。」


シャルロッテ。

「より安全な方法を好むヨ。」

「平和を好むケド。」

「感情論が女性のルールダヨ。」

「本能的な行動や言動。」

「本能的な生き方しか出来ないモノデ。」


あかね。

「基本的に女性は理性を持たないよ。」

「本当はけっこう狡猾。」


すみれ。

「嫉妬深いのはわかるけれど。」

「他者を貶めようとして。」

「事実に反する噂を作って意図的に流したりするなど。」

「さまざまな人間関係上の悪だくみを実行するとか。」

「人間関係の平和を根本から乱す所が頭悪いわ。」

「正攻法ってのを知らないから。」


あかね。

「それはその女性の弱さです。」


すみれ。

「弱い女性って正当防衛も出来ないし。」

「実行力が無いから。」

「何の役に立つのか分からんわ。」


シャルロッテ。

「女性同士でもたがいに妬み。」

「互いの足の引っ張り合いばかりしているヨ。」

「そもそも物事の見方が自己中心的ナンダカラ。」


すみれ。

「陰湿。」

「欲深い。」

「自分のことばかり考えている。」

「不平・不満ばかりを言う。」

「自分のやること。」

「やるべきことに注意を向けていない。」

「自分の外見のことばかり気にしている。」

「人からの評価ばかり気にしている。」

「表面だけ偽装して誤魔化す。」

「自分の心の根本を反省することを後回しにする。」

「男性のように何らかの知恵を持つことは稀。」

「うわあ。」

「女性の弱点が網羅されてるわ。」


シャルロッテ。

「数千年において生物的な進化は皆無ナンジャナイ?」

「一生が大人になって結婚して子育てして老いぼれるダケヨ。」

「パターン化しているケド。」

「何もしていなかったのデ。」

「能力値が低く。」

「何もしていないカラ。」

「地位も低いヨ。」

「これらを。」

「神に叱責された場合。」

「言い訳が上手デモ。」

「弁解はもはや出来ないカラ。」

「女性は無批判ナノガイノチトリダヨネ。」


あかね。

「楽しく暮らそう。」

「それしか頭に無かったりして。」


シャルロッテ。

「Oh my god!」

「聖書でアルヨ。」

「愚かな金持ち」

「たとえばなしネ。」


イエス・キリストのたとえばなし。


ある金持ちの畑が豊作であった。


彼は心の中で考えた。


どうしよう。


私の作物をしまっておく場所がない。


そしてこう言った。


こうしよう。


私の倉を壊して、もっと大きいのを建て。


私の穀物や財産はすべてそこにしまっておこう。


そして、自分のたましいにこう言おう。


わがたましいよ、これから先何年分もいっぱい物がためられた。


さあ休め、食べて、飲んで、楽しめ。


しかし、神は彼に言われた。


愚か者、おまえのたましいは、今夜おまえから取り去られる。


おまえが用意した物は、いったいだれのものになるのか。


ルカの福音書(12章16節)


シャルロッテ。

「全く同じ考えを。」

「ほとんどの女性が所持しているワケヨ。」

「イエス・キリストに付き従いつつ。」

「主の存在を無視して。」

「仕えたりしない態度をミルト。」

「まだ到達していないか、故意に無視しているか、どちらかダヨ。」


すみれ。

「すみれちゃんはよく分からないで。」

「キリスト教で主という言葉をあまり聞かない。」


シャルロッテ。

「ナンデダロウネ。」

「イツモギモンダヨ。」


すみれ。

「散々に読んだわ。」

「忠言の塊やった。」

「これからどうする?」


シャルロッテ。

「ゲームセンターとかドウヨ?」


すみれ。

「たまには行きたいわ。」


あかね。

「賛成。」


ゲームセンター。


大型店舗で女子高生が多い。


対戦ゲームがあり。


ウェスタンとガンマンをテーマにしたシューティングゲーム。


シャルロッテ。

「AIとタタカエルケレド。」

「人工知能の弱点は愚直なトコロダヨ。」

「ちょっとタメシテミル。」


すみれ。

「人工知能は馬鹿正直。」

「それは知ってるけれど。」

「ほんとにパターン通りにしか動かんね。」


あかね。

「ゲームでは人工知能が不正をする場合があるよ。」


シャルロッテ。

「それ以前に。」

「愚直な弱点を突くだけでカテルヨ。」

「一度見切ったら勝ったも同然ネ。」


AI側がボロ負けしてしまう。


三ラウンドをあっさり取って勝利。


メダルが出てくる。


シャルロッテ。

「これ使うネ。」


すみれ。

「おっと。」

「出費が安く済みそう。」

「ありがと。」


シャルロッテ。

「まだ稼いでヤルネ。」


次はレースゲーム。


しかしシャルロッテ。


F1マシンをわざと接触させて。


トップを走るAIをクラッシュさせた。


自分の機体は小破。


ルールの抜け道をよく知っている様子。


賭けレースにボロ勝ち。


すみれ。

「うわあむごい。」


シャルロッテ。

「勝ちは勝ちダヨネ。」


あかね。

「メダルだらけで持ちきれない。」


シャルロッテ。

「日本人は性善説が好きなんデスカ?」


すみれ。

「欧州の性悪説を学んでないだけだわ。」


シャルロッテ。

「先天的に善なんて疑問ナノデスガ。」

「どう見ても愚者か獣のようで。」

「最初見た時は動物に見えたモノデ。」

「最近は慣れタノデス。」


すみれ。

「善人を自称することは出来るわな。」

「先天的に善なんて思ってないで。」

「哲学的に言えば。」

「自然状態からいきなり善なんて。」

「理にかなってないんやけど。」


あかね。

「では善ってなんでしょう?」


シャルロッテ。

「善悪は知識ではアリマセーン。」

「次行きますヨ。」


シャルロッテの快進撃。


メダルが多過ぎて。


遊びきれないので。


困っていた所。


いきなり爽やかな男性から声をかけられ。


すみれちゃん。


告白されました。


アイドルだと認識していたようで。


ツーショットを頼まれました。


応じてあげて。


それで知りました。


魔法少女の人数は全国においてそんなに多いわけではないのですが。


その中でとびっきりの娘はすぐに人気が出て。


その女の子に惚れてしまう人が多い。


すみれちゃんに恋をしても。


断られるのがオチなので。


ずっと憧れていたいそうです。


ちょうどメダルで困っていたので。


押し付けましたが。


仲間が数人居たらしく。


捨てる必要がありませんでした。


シャルロッテ。

「どうしたノ?」


すみれ。

「女性として見られたわ。」


あかね。

「すみれちゃん人気みたいだよ。」


シャルロッテ。

「それはいい体験ダヨネ。」

「そろそろ離脱しようヨ。」

「もう一時間にナルヨ。」


すみれ。

「そうしよっか。」


シャルロッテ。

「明日帰国するから。」

「また機会があったら遊ぼうネ。」


すみれ。

「それには同意するわ。」

「中々高度な遊びが好きだわな。」

「スプラッシュな女の子。」


シャルロッテ退場。


すみれちゃん。


この日から。


シンプルかつ整った身なりをするようになりました。


とある日。


日葵。

「こんな新聞があったから。」

「届けておくね。」


すみれ。

「え?ありがと。」

「なんの新聞?」


日葵。

「それが随分と気の利いた内容で。」

「すみれちゃん興味あると思って。」


すみれ。

「貰っておくわ。」

「どんな内容やろ?」


記事。


「クルメン」と呼ばれる超人の女性が増えており。


大衆教育ではなく。


フリースクールで諸芸を磨いた。


奇跡的な女性たちで。


すべての女性たちの頂点に君臨するとか。


多様化。


高度化する文明に。


その都度。


変化を重ねていった末に。


まったく新しい考え方を持っており。


能力差が開き過ぎて。


蹂躙されつつあるとか。


すみれ。

「女性の天下も有り得るんやね。」


あかね。

「すみれちゃんおはよー。」

「って新聞?」


すみれ。

「大型新人の台頭だって。」


あかね。

「どれどれー?」

「ロートルは面白くないでしょう。」

「でもこういうのが時代が求めているもの。」


すみれ。

「妄評もあるかもしれないわ。」


あかね。

「百歳の童七歳の翁。」

「知恵のあるなしは年齢にはよらないということ。」

「年輪を重ねても幼稚な者もあれば。」

「幼少でも大人がかなわない知恵者がいる。」


すみれ。

「暴評とかは。」

「個人的な好き嫌いはあるだろうけれど。」

「それは芸術性とは無関係やからな。」


あかね。

「芸術性と言えば。」

「冗漫に書かなくて良かった。」


すみれ。

「簡潔に書くのが芸術作品の鉄則。」

「美しいものを描くのが芸術やから。」

「文芸もそうやね。」


あかね。

「それよりもライバルが多くなっておもしろいよね。」


すみれ。

「差が開き過ぎてつまらなかった所やから。」

「少し面白くなった。」

「凡人と勝負しても。」

「差が開き過ぎていてつまらない。」

「それが一瞬で消し飛んだわ。」

「いつかは勝負するだろうし。」

「楽しみが増えたな。」


特集がいくつも組まれて。


「クルメン」はしばらく快進撃が続きそうです。


すみれちゃんも優れた人材と言われている為。


華族ナンバー3から。


管理職のお誘いがあったり。


国会の警備担当など。


魔法使いは警察官への就職率が高いせいかな。


芸術家としての評価もそこそこあるもんです。


まだ女子高生ながら。


いくつもの選択肢に翻弄されつつあるすみれちゃん。


実戦経験が買われているものの。


自分の力量が思ったより強力ではないと知っていて。


なおさら諸芸を磨くように努めます。


成人するまでに。


充分な実力を持つまで。


鍛錬の日々です。

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