第23話

すみれちゃんの飛躍。


その前にあった出来事。


書斎であかねちゃんと議論していました。


すみれ。

「論語は学問の基礎やな。」


あかね。

「女性は学問をする事が滅多にありませんねぇ。」


すみれ。

「自身の成長に全く興味がなく。」

「楽しい暮らし。」

「特に本能的に欲するままに行動しがち。」


あかね。

「女性の欠陥でしょうか?」


すみれ。

「何も望むものがないとか?」


あかね。

「女性の堕落?」


すみれ。

「女性の腐敗っぷりは見たわ。」

「いつまでも夫に仕えて。」

「使い倒されるのかな?」


あかね。

「もしそうであるならば。」

「女性はなんのために存在するのかな。」


すみれ。

「悲しいものやで。」

「でも歴史は。」

「女性について明確に答えを出しているんや。」


あかね。

「確かに。」

「活躍した女性たちは女性のお手本を見せていたよね。」


すみれ。

「温故知新。」


あかね。

「子曰く、故きを温めて。」

「新しきを知る。」

「似て師と為るべし。」


すみれ。

「学問は自身の成長のために生涯を通して学ぶもの。」

「勉強は利益追求の手段になってしもうた。」


あかね。

「うーん。」

「そうなると。」

「どうでもいい人間たちの中で。」

「まともに存在しようとする人だけ選ばれて。」

「いいようにしてくれるのかな。」


すみれ。

「例外者。」

「全員がAと言うのなら私はB。」

「これは独立している。」

「神様の御神前に出られる独立者としての意味合いがあるんや。」

「みんなに従って大衆の一部になっている時点で見込みなしやなあ。」


あかね。

「そういえば女性という存在の有り方や存在価値や見方について。」

「絶対的な根拠はあるのですかね。」


すみれ。

「ないでー。」

「みんな適当に言った言葉が次第に固まって。」

「こんなのが女性だろうと思って。」

「みんな妄信したんやでー。」

「女性という存在への見解については絶対的な根拠はないわ。」


あかね。

「わたしたちは女神様を根拠にしてみる。」


すみれ。

「北欧神話とか凄まじいわ。」

「人の計画を破壊する女神様までいらっしゃる。」

「力比べをしようとする事自体。」

「既に間違っているわな。」


あかね。

「そういうことだよね。」

「女性についての考え方に絶対的な根拠はない。」

「みんながそう言ったのがベタベタくっついて。」

「とりあいずこうだろうという憶測が出来上がって信じられた。」


すみれ。

「そゆこと。」

「あんまりにも拠り所がない。」

「こうだああだ言ううちにそういう形になった。」

「どこをどうしても根拠はないわな。」


あかね。

「そんなにみんな頭悪いの?」


すみれ。

「そうらしいわ。」


あかね。

「わあかわいそう。」


すみれ。

「憐れんでやって。」


あかね。

「論語の一節。」


論語を手に取る。


子曰く、我は生まれながらにしてこれを知る者に非ず。


古を好み、敏にして似てこれを求めたる者なり。


-論語-


先生は言われた。


わたしは生まれながらにして物事をわきまえていたわけではない。


昔の人の行為が素晴らしいので。


それを一生懸命学んでいるのだよ。


孔子の言葉である。


すみれ。

「歴史。」

「天地創造の時から今に語り継がれる書物。」

「賢者と聖女。」

「英雄と天才と偉人。」

「権力者と国民の記録。」

「人の営みに至るまで細部に渡る。」

「人類の総集編。」

「戦争や政治・文化・生活・科学。」

「人類の発展と先人が確立した学術まで。」

「ありとあらゆるものを含め。」

「解説した教科書。」

「どこをどうしても人類の集大成。」


あかね。

「自分たちが築き上げたので。」

「歴史自体を誇ってもいいのでは?」


すみれ。

「それは賛同しません。」


あかね。

「でも自分たちで建築した歴史なんだから。」

「否定する理由はないよね。」


すみれ。

「それは言えているわ。」


あかね。

「論語はやっぱり基礎。」

「子曰く、述べて作らず。」

「信じて古を好む。」


すみれ。

「付和雷同。」

「大衆は同調するけれど調和はしない。」


あかね。

「大衆は確かに同調するよね。」

「でも調和はしないから。」


すみれ。

「セーレン・オービュエ・キルケゴール。」

「1813~1855/デンマーク/実在哲学。」

「例外者」

「既成の価値観に取り込まれずに。」

「自分の真理を目指す「例外者」を提唱した。」

「みんなが「A」と言うのなら。」

「わたしは「B」である。」

「万人が「A」と言うならば自分は「B」であると言うのです。」

「多数派から疎外されても。」

「自分の得た真理のために生きることが重要となる。」

「真理とは不変のものであるが。」

「個人事に異なると考え。」

「そこから導き出した例外者。」


あかね。

「頭いいひとしか分からないですよ。」


すみれ。

「これが理解できるのが普通だと思ったんやけれど。」


あかね。

「思ったよりみんな劣っていると思う。」


すみれ。

「愚者は経験からしか学べない。」

「賢者は歴史から学ぶ。」

「誰の言葉やったか。」

「たまにいるんやね。」

「賢人は。」


あかね。

「論語。」

「学問と勉強は違う。」

「勉強して大学に入り。」

「素晴らしい会社に就職する利益の為の手段が勉強となっている。」

「学問とは自分自身の成長の為であり。」

「生きている限り。」

「生涯をかけて学ぶのです。」


論語の一節。


子曰く、学は及ばざるが如くするも。


猶おこれを失わんことを恐る。


先生は言われた。


学問とは追いつくことのできないものを追うようなもので。


それでも追いつくことができないと恐れるようでなければならない。


孔子の言葉は学問の基礎。


すみれ。

「最近学問の神様にお会いしてな。」

「国語辞典を発見し。」

「興味本位で読み漁って。」

「そうしているうちに。」

「国語辞典が知識の宝庫であり。」

「公正で中立性を保ち。」

「誰もが否定の余地が無く。」

「さらに自分にとって最高の情報が掲載されていて。」

「現代版の聖書であると思ってしまったんね。」


あかね。

「信仰は永遠のもの。」


すみれ。

「そう祈った。」


あかね。

「人は神様中心になるべきです。」


すみれ。

「それは賛同するわ。」

「古本屋から仕入れた書物。」

「いいものを選抜しているわ。」

「読む?」


あかね。

「お泊まりはいい?」


すみれ。

「もちろん。」

「いいことしてあげる?」


あかね。

「キャーえっち!」


笑いあいながら。


書物のページをめくります。


本無き家は滅びるとまである。


学問の世界。


自身の成長の為に。


生涯を通して学び続けます。


これはその1ページ。

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