第21話

すみれの過去。


少し前にあった。


はじまりの物語。


かつての存在。


すみれちゃん。


優秀な女の子で。


飛び級で短期コースに入っていきました。


それまでは普通の学校でしたが。


心構えや人間性に優れているとされ。


学校が変更されたのです。


きっかけの出来事。


休日。


街で遊んでいたすみれちゃん。


友達と一緒。


すみれ。

「タピオカドリンクあるらしいわ。」


女子高生。

「まじ?」

「飲んでいこうよ。」


すみれ。

「?」


女の子。

「すみれも早く来る来る。」


すみれ。

「普通ってなに?」


女子高生。

「え?普通?」


すみれ。

「たまたま成立した普通の基準。」

「なるほど。」

「絶対的な根拠が無いわ。」


女の子。

「えー難しい。」


女子高生。

「でも普通でいいんじゃない?」


すみれ。

「あなたの考えの根拠はありません。」


女子高生。

「あーうちわからん。」


友達との仲は良かったのですが。


だんだんと合わなくなり。


離れました。


普通教室の出来事。


教師。

「進路はどうする?」


すみれ。

「さあ?」

「アイドルになろうと思ったら?」


教師。

「きちんと決めてみてはどうか?」


すみれ。

「普通の道って。」

「大衆の一部になれという意味ですか?」


教師。

「安定した職を・・・。」


すみれ。

「すべてを疑ってみたら。」

「確かな根拠があるものだけ残った。」

「あなたにはそれがない。」


教師。

「これはまいった。」


ある時。


学校の連中が割と陰湿なのに感づく。


快活とは違う。


他の学校はどうかな?


そう思って。


他の学校に寄ったりもしていたものの。


陰湿な雰囲気はどこにでもあった。


職員室。


教師。

「集団についてどう思うか?」


すみれ。

「集団ってなんですか?」

「統率も無い。」

「単なる群れですか?」

「偶然集まった集団。」

「わたしは個人主義ですので。」

「集団主義を押し付けないでください。」


教師。

「協調については?」


すみれ。

「集団主義という名前の新興宗教について?」


教師。

「この娘はエリートコースだな・・・。」


すみれ。

「へ?」


一か月後に。


聡明で賢明な娘だけを集めた女子高に特別編入され。


英才教育を数年で習得するに至ります。


リベラルアーツ式の教育でしたが。


有神論を採用している所が違っていましたね。


神様への忠誠を誓う正教の人々が運営する。


私立でしたよ。


政府の助成金があり。


新しい教育として実験されており。


実用化まであと少し。


そんな学校です。


編入時の自己紹介。


すみれ。

「すみれちゃんやで?」


クラスメイト。

「すみれちゃんが現れた!」


あかね。

「コマンド。」


クラスメイト。

「お菓子食べる?」


あかね。

「抱きしめてあげよう。」


生徒会。

「これはかわいい娘が入りましたなあ。」


休息時間。


すみれちゃん。


とある先輩に告白されてしまう。


なんと楽天主義者の集まりで。


道理に明るい女の子だけが集まっていたのです。


あかね。

「順正である事がはじめに教えられる。」


すみれ。

「なるほどなー。」


先輩。

「キミいくつ?」

「お茶しない?」


あかね。

「いいえわたしが取った。」


先輩。

「なにっ!」

「ならば勝負だ!」


クラスメイト。

「カードゲーム大会出場者同士!おもしろいゾ!」


すみれ。

「なんかとんでもない世界やわ・・・。」


あかねちゃんと自然と仲良くなっていましたね。


他にも友達がたくさん。


向こうからアプローチしてくるのです。


こんなんで。


短期学習コースは過ぎていき。


「学問」についてきちんと教わりました。


学問は自身の成長の為に生涯を通して学ぶもの。


論語の一節が強調されます。


とても効率的で。


自主的に学ぶ事を覚えましたね。


この頃。


人間の腐敗を見るようになりました。


確かな情報では無いのですが。


どこをどう見ても腐敗しているような。


人間の有様しか出てきません。


特に女性の堕落した一面を直視してしまいました。


女性は本能的な性欲に溺れて。


夫を求めて徘徊するほどで。


自分で選択しているような雰囲気ではありません。


本能に振り回されて結婚していたり。


性欲に溺れているような感じがして。


いつまでもそんな状態で一向に進展がありません。


すみれちゃんは彼女たちの愚かな振る舞いの逆をして。


他山之石。


自分を強力化させていきました。


すみれ。

「女の人はあれでいいの?」


あかね。

「その人はあの程度。」

「わたしたちは違うの。」


すみれ。

「そうやな・・・。」


あかね。

「同じ人でも違いがある。」

「あの人達とは違うから。」

「どうしてあの人達と同じ道を行く必要があるの?」


すみれ。

「たまたま成立した女性という見解。」

「それに従って。」

「腐敗したり間違っても固定概念と化して。」

「固まっては従っての繰り返し。」


あかね。

「そんなもの。」

「自然由来の考え方はしないから。」


すみれ。

「女性についての見解の絶対的な根拠は無い。」

「女神様を見たらなんか女性について分かったわ。」


あかね。

「でしょ?」

「人間の自分勝手。」

「人間は増長したから。」

「あっちには行かないで。」


すみれ。

「なるほどなー。」


現代の女性の姿を見せられて。


失望したすみれちゃんはタモトを分かったのです。


絵画についてピカソやゴッホ。


美術にハマって。


美術館を巡りましたよ。


美術とは?


美を表現する芸術。


空間的、視覚的美を表現する芸術。


絵画・彫刻・工芸・建築など。


美しいもの。


たっぷりと観てまわったのです。


あかね。

「イラストから転向してみようかな。」


すみれ。

「絵画?」

「目の前にあるリンゴをそのまま描く必要は無いのでは?」


あかね。

「確かにそうだよね。」


すみれ。

「対象物をそのまま絵にする必要は無いのでは?」


あかね。

「そうだと思う。」


すみれ。

「ちょっと描いてみよ。」


エイプリルフールに。


「ニューアップル」というリンゴを描いて。


カオスなおふざけ絵でした。


公開したら。


画家から素晴らしいと言われて。


絵画の世界に入って行きましたよ。


すみれ。

「絵画もいいけれど。」

「あんまり体が良くないかも。」

「体力必要。」


あかね。

「格闘技やる?」


すみれ。

「力は必須科目。」

「ボクシングやってみるかな。」


あかね。

「だったらわたしがフェアバーンシステムを教えてあげる。」


すみれ。

「フェアバーンシステム?」


あかね。

「軍人直伝。」

「人殺しの戦闘術。」


無理矢理教わるものの。


短期間で充分なレベルに達するんですよ。


強力過ぎる戦闘力を持つ女の子になれました。


力を持った事で。


すみれちゃん。


弱い者をたくさん発見していきます。


弱い事が良いとされていますが。


本当の所は弱い者は虐げられて。


強い者が結局すべてにおいて勝ちます。


善悪としては違う事に感づきました。


そこで武士をお手本に習います。


図書室。


すみれ。

「正しい力。」

「武士道?」

「義なる力に服従する定めにある弱き愚かなる者。」

「弱さと愚かさを混同しつつ。」

「決して善の定義に入らない。」

「なおかつ正しくない彼ら。」

「こんな考え方もあるんやね。」


弱い事は善ではありません。


また彼らは。


正しくもありません。


善ではありません。


正しくもありません。


定義とは違うようです。


これも発見でした。


さらに。


古本屋で。


良書と愚書が分かれている事にも感づきましたね。


クラスメイトと情報共有があって。


すらすら行きましたよ。


ある時。


バッグをひったくられました。


そのまま追わずに。


適当に追いかけて。


死角に気を付けて。


相手が止まった所を。


無暗に入らず。


フェイントを入れたら。


相手が掴もうと必死になったので。


ひらりと避けて。


相手がミスした瞬間。


殴り飛ばしました。


一発ではありません。


数発入れました。


顔面の急所にヒットしてしまい。


相手は全治三週間。


暴漢は血だらけ。


相手が倒れても追撃しなかったので。


許されました。


モーセの律法が適用されていたのです。


魔法少女の力が強くて。


威力が上がっていたようですね。


英雄談として新聞に掲載されると。


世間の評判はおもしろいものでした。


たまにあるそうです。


新鮮だったのでしょう。


学校の裏庭にて。


すみれ。

「なんだか不思議な力があるんや。」


あかね。

「あっ!それ!?」


すみれちゃん。


アイドルの衣装にチェンジ。


オーラが放たれました。


すみれ。

「えー?」


あかね。

「あらまあ報告しなくちゃ。」


すみれちゃん。


しばらくして衣装が元に戻り。


能力の制御を開始。


自由に扱えるようになり。


教師がつけられました。


教師は魔法使い一族のひとりで。


名が知れた実力者です。


パィスベル。

「よろしくねー。」


すみれ。

「よろしく。」

「漢字では駄目ですか?」


パィスベル。

「そのほうがいいかもしれないわね。」


すみれ。

「では黒板に書きますね。」


パィスベル。

「やってしまえー。」

「ってなに言ってんの。」


すみれ。

「やっぱり駄目かあ。」


パィスベル。

「書けばいいじゃない。」


すみれ。

「では我が国伝統の。」


パィスベル。

「本気で書くんじゃないよ!」


すみれ。

「ノリいいです。」


パィスベル。

「次は旗作ってきなさい。」


すみれ。

「なんと。」


パィスベル。

「できるの?できないの?」


すみれ。

「本気で?」


パィスベル。

「本気よ。」


すみれ。

「おおなんという女性。」


パィスベル。

「これでも25なのですよ。」


すみれ。

「少女の容姿がある。」


パィスベル。

「まあ。」

「かわいがってあげようじゃないの。」


すみれ。

「わっ!」


抱きしめられるすみれちゃん。


はじまりはこんな感じでした。


いまでは普通の光景。


きっかけが無ければ。


きっかけが与えられなければ。


多分。


普通のまま。


でも今は。


独立した存在。


普通とは違うんです。


ただ。


普通の概念がたまたま成立したに過ぎない。


そして普通を基準にする人間とは。


別物だった。


鷲は豚の群れには入れません。


獅子がオオカミと群れることはできません。


それがありました。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る