第16話 初めての差し入れ

————俺は、作ってもらったカフェラテを持ってスタジオに向かっていた。


叶「とりあえず、一度連絡してみるか。突然だし…来ても来なくても仕方ない」

【メールする叶】

『青葉、おつかれ〜。今、外にいるけど…忙しいよな?』


叶「30分だけ待ってみるか…」【座れる場所に座って待つ叶】


【30分後】

叶「……30分経ったな。カフェラテの氷も溶けてきちゃったよ。せっかく作ってもらったし、部屋で飲むかな。」【立ち上がって行こうとした瞬間】

青葉「叶!」【後ろから青葉に呼び止められる叶】

叶「え!?何で?」

青葉「何でって、何で?連絡くれたでしょ?」【息を切らしている青葉】

叶「もしかして…走ってきたのか?」

青葉「ははっ、さっき休憩もらって携帯確認したら叶からメールが来てたから走ってきた。待たせちゃってごめんね。」

叶「……………」【言葉が出ない叶】

青葉「あっ、それカフェラテじゃない?」【叶の持ってる袋を指差す】

叶「あっ、あー。でも、時間が経って氷溶けちゃった。」

青葉【袋を取る青葉】「ありがとう!嬉しいよ。」

叶「え!?でも、氷が溶け出しちゃってるから味が薄くなってるかも。俺が飲むよ。」

青葉「いいんだよ。だって、叶が差し入れくれるの初めてじゃん!ありがとね。」【笑顔の青葉】

叶「…………お、おー」【赤くなる叶】

青葉「ねぇ、もしかして夕方時間ある?」

叶「あ、あー。時間はあるけど…」

青葉「よかった。今日撮影早めに終わるみたいだからメシでもどう?」

叶「わかった。」【少し嬉しい気持ちがあるが押し殺す叶】

青葉「了解!じゃぁ、終わったら連絡する。カフェラテありがと!」【急いで撮影に戻る青葉】

叶『がんばれ。青葉』【とりあえず、帰宅する叶】


【夕方】

『青葉から仕事が終わったと連絡をもらい、ハマっているというイタ飯屋さんにきた』


叶「なんかおしゃれだな。なんでこんな場所知ってるの?」

青葉「この前一緒に仕事した人がここのパスタがおいしいって教えてくれて、叶と一緒に行きたいなって思ってたんだ。これてよかったよ。」【笑顔の青葉】

叶「個室なんて初めて入った。」

青葉「外のフロアとかでもいいかなって思ってたんだけど、迷惑かけちゃ悪いし…それに、叶とゆっくりご飯が食べたかったからさ。」

叶「……………ずっと思ってたんだけど…そんな歯の浮いたようなセリフよく言えるな。マジで…」【呆れる叶】

青葉「そう?俺にとっては普通なんだけどな〜」【不思議そうに言う青葉】

叶「はっ!?そのセリフを普通に言ってるのか?」【強い口調の叶】

青葉「あー、違くて!嘘つけないからさ…好きな相手だからこそ普通に出ちゃうっていうか、なんていうか」【困ったような表情の青葉】

叶「青葉って、俺より年上なのにたま〜に大人っぽいところもあれば、基本幼稚だよな!」【嫌みっぽく言う】

青葉「それは…褒めてないな」

叶「当たり!褒めてはいない!」

青葉「ひどいな〜でも、まぁいっか。」【笑って言う青葉】

叶「………………?」

青葉「最近、忙しくて姉さんのカフェにも行けてなかったからな〜。今日は、叶と一緒にごはんが食べれるなんて嬉しいよ。」【笑顔でメニューを見始める】

叶「………………」【メニューで顔を隠しながら照れる】



—————————————青葉が誰からも愛される理由がわかった気がした。

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