第15話 チクリと感じる胸の痛み

————————前よりも少し…ほんの少しだけ雑誌を見ることが増えた。


叶「…………」【ファッション雑誌を見ている叶】

叶の友達「おはよ、叶。あれ?雑誌読み始めたの?」

叶「…ま、まぁーな。」【焦りつつもごまかす叶】

叶の友達「そーだ。お前、琴音ちゃんと別れたんだって〜?」

叶「あー、まぁな。」

叶の友達「お前にもなんか事情があると思うから、詮索しないでおくけど…。」

叶「さんきゅー」

叶の友達「話は変わるけど、最近、久米月くん雑誌に出ることも多くなったし、広告にもよく出てるよな〜。カフェにはどう?見かける?」

叶「ううん。最近忙しいみたいでさ。カフェにもあんま来なくなったよ。春希さんが誰か雇おうかなって言ってた。」【携帯が鳴る】

【画面には青葉の名前】

『今から撮影だよ★今日はスタジオ撮影みたい〜☺️叶も学校頑張れ!!』


【思わず笑ってしまう叶とそれを見逃さない叶の友達】

叶の友達「あれ?叶、久米月くんと携番交換したんだ?」

叶「…あー、最近な。偶然、偶然だから…」【隠しながら返信する叶】

叶の友達「はいはい。偶然な〜にしても、嬉しそうだけど」【からかうように叶を見る】

叶「うるさい!講義始まるぞ!」【メールを送信する叶】

『お前も頑張れ!!無理すんなよ。』「送信!」




【駅】


【駅を歩いている叶。横に目をやると青葉の写真】

叶「あいつ、こ〜んなでっかい広告も担当してるのか〜」

【広告を見ながら】『なんか雰囲気が違うな…』


【広告の前に2人の女子高生】

女子高生1「本当、久米月青葉ってかっこいいよね〜」

女子高生2「マジでかっこいい!友達もはまっててさ〜雑誌買いまくってるんだって。この青葉くんもめっちゃ素敵。」【そう言いながら写真を撮っている】


叶「…………………」【胸が跳ねた後にチクッと傷み手をかざす】

【その場を去る叶】



【叶の部屋】


叶「……………」【青葉にメールをする叶】

『青葉。お疲れ〜。まだ仕事中か?今度休みとかあったらメシでもどうかなって。』

【シャワーを浴びに行く】


【シャワーから出ると携帯がチカチカしている】

叶「青葉だ。」【メールを開く叶】

『今終わったよ。今日も一日中撮影だった〜。休みか、一回確認してみるね。』

叶「そうだよな。すぐはわからないか。」【ため息をつく叶】

『すげぇイテェな。』


【カフェ】


咲良「お兄ちゃん、最近超忙しいみたいだね。」

春希「そうだね。仕事もどんどん増えて、カフェにも来れなくなったからバイトくん雇おうと思ってるのよ。」

【ドアが開くと叶が入ってくる】

叶「こんちわ〜いつものバニララテお願いします。」

春希「いらっしゃい。オッケー。待っててね。」

咲良「満島くん。学校終わったの?」

叶「うん。午後の講義が休講になってさ。青葉忙しいみたいですね。」

春希「そうなのよ。雑誌だけじゃなくて広告の仕事も増えてるみたいで。休みもないほどらしいよ。」

叶「体調とかは大丈夫なんですかね?」

春希「私も最近姿見てないからな〜。そういえば、今日外で撮影だって言ってた気が…」

叶「春希さん、俺のバニララテテイクアウトにしてもらっていいですか?あと、もう1個アイスカフェラテもお願いします!」


——————————————気づいたら俺はその場から立ち上がっていた。

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