第13話 新しい一歩

——————————青葉に会わなきゃ。


【カフェ】

青葉の姉「いらっしゃい。久米月くん。」

叶「あの、お願いがあるんですけど。」【そう言ってメモを渡す】

【受け取る青葉の姉】



【カフェの近くのベンチ】

叶「………」【ベンチに座って待っている叶】

青葉「満島くん…はい。これ、姉貴から」

叶「ありがとう。」

青葉「どうしたの?このメモ…。何か悩み事?」

叶「いや、そうじゃないんだ。最近、あんまり話す機会がなかったなって思ってさ。」

青葉「そだね。俺もモデルの仕事が忙しくなってて、カフェにもあんまり行けなくなったし、満島くんも琴音ちゃんといい感じだったじゃん。」

叶「琴音とは…別れたよ。振られた。…というか振ってくれたんだ。俺のこと。」

青葉「え!?それどういうこと?別れたの!何で?」

叶「…………俺が悪いんだ。琴音への気持ちが薄れて…」

青葉「そうだったんだね。琴音ちゃんは、可愛くてとっても良い子で、満島くんのこと心から思ってた。あんな良い子他にいないよ。」

叶「……うん、わかってる。琴音は俺のことを思って別れを切り出してくれたんだ。」

青葉「そっか。琴音ちゃん本当に良い子だ。」

【青葉の方をちらっと見る叶】

青葉「なんで別れたの?」

叶「………さっきも言ったろ!気持ちが薄れてって。」

青葉「じゃ、もしかして、他に気になる人がいるってこと?」

叶「どうしてそう思う?」

青葉「いや、なんとなく。」

叶「……………」【青葉の方をチラッと見る】

青葉「え!?今俺の方見た!?」

叶「うるさい!見てない!」

青葉「…なんだ。見てないのか。」【からかうようにクスッと笑う青葉】

叶「………うそだ。見た。」

青葉「え!?」【コーヒーを吐く】

叶「なんだよ!お前汚い!!」

青葉「ごめん。どういうこと?」

叶「見たけど、わからないんだ。毎日モヤモヤして、お前が女性と話してると気になるのは確かだ。でも、正直戸惑ってる。俺は女性が好きで…本当に無理なんだ。無理なのに…」

青葉「いいよ。無理しなくて。無理に認めなくてもいいし、なんとかしようとしなくてもいい。そのままでいいから。ただ…満島くんのこと好きなままでもいいかな?」

叶「………勝手にしろ。」

青葉「あと…」

叶「なに?」

青葉「携帯の番号教えてほしいんだ。そうすれば、こんなことしなくてもいいだろ。」【叶の書いたメモを見せる】

叶「…そうかもな。」【携帯番号を交換しようとする】

青葉「マジで!?」

叶「なんだ?嫌なのか?」

青葉「嫌じゃない!ただ…驚いてるだけだ。」

【青葉に携帯番号を教える】

青葉「ありがとう」【嬉しそうな青葉】

叶「ってか、青葉って何歳?」

青葉「俺?25だけど。」

叶「衝撃!同い年くらいかと思ってた。」

青葉「そう?ワン切りするよ。」【叶の携帯に電話する青葉】

叶「来た〜。」【メールの着信に青葉の名前】

青葉「………へへっ」【笑顔の青葉】

叶「お前、目の前にいるのに送るなよ。」【そう言いながらメールを開く】

『友達から始めよ!改めてよろしく。』

【笑顔になる叶】

青葉「あっ、満島くんが笑った。」

叶「笑ってない!ふざけるな!それと、満島くんはやめろ!固っくるしいからな」

青葉「じゃ、なんて呼べば…」

叶「叶でいいよ。その方が友達みたいだろ?」

青葉「そうだね。…叶」【急に真面目な表情になって叶に顔を近づける青葉】

叶「…………帰る!!」【赤面する叶】

青葉「途中まで送ってくよ。」

叶「うるさい!来んな!!」



———————————————これからがスタートな気がする。

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