第8話 不意打ち

【大学からの帰り道】


【琴音にメールを打つ叶】

『今大学終わって帰るところだよ。』


【ベンチに座る青葉を見つける】

叶「…………………」【カフェに向かう叶】


—————————10分後


【青葉の頬に買ったドリンクを当てる】

青葉「わ!」

叶「何やってんの?」

青葉「あー、満島くん、今帰り?」

叶「うん。お前は?」

青葉「撮影が終わってカフェに寄って、今日は早めに上がらせてもらったんだ。」

叶「何?具合でも悪いの?」

青葉「ううん。大丈夫。…あっ、これありがとう。」【笑顔を浮かべて一口飲む】

叶「……うん。」

青葉「彼女さんと上手くいってるみたいだね。よかった。」

叶「…………あー。おかげさまで。」

青葉「何だ?嬉しくないのか?」

叶「何で?」

青葉「なんか冴えない顔してるから悩みでもあるのかなってさ。」

叶「お前は最近どうなんだ?」

青葉「俺?モデルの仕事も増えてきて、カフェにもファンの人がたくさん来てくれて充実してるよ。」【微笑む青葉】

叶「………そっか。」

青葉「でも……正直に言うと…大好きな人が幸せそうなのにそれを喜べない自分はいるから…心の整理がうまくできなくて時間が必要かなって感じ。」

叶「……………」

青葉「だからといって、どうこうしようって気はないから安心して。大丈夫。」

叶「………大丈夫って…」【肩にコツンと寄りかかってくる青葉】

青葉「……………」【荒い息】

叶「ちょ、青葉?青葉!!」


【青葉の部屋】


【叶が肩を貸しながら寝室に向かう】

叶「よいっしょ。クソ重いな」【青葉を寝かす】

青葉「…………ごめん。」

叶「こんなになるまで働くか普通…」

青葉「ハハハ…」

叶「冷えピタとかあるか?薬は?」

青葉「大丈夫。一人でできるから帰って。」

叶「お前バカだろ!そんな高熱で何ができるんだ!強がるな!」

青葉「…………」

叶「お前は一旦寝てろ。わかったな!」

青葉「ありがとう。満島くん」【笑う青葉】


【朝】

【目を覚ます青葉。横には床で座り込み伏せて寝ている叶】


青葉【そっと頭をなでる】「ったく…」


【叶が目を覚ます。目の前の青葉がいない】

叶「………どこいったんだ?」【目をこすりながらリビングへと向かう】

青葉「おはよう。昨日一晩中いてくれたんだよね。ありがとう。」

【コーヒーを机に置く】

叶「もう起きてて大丈夫なのか?」

青葉「うん。熱も下がったみたいだし。ありがとう。とりえあず座って。お腹は空いてる?」

叶「少しかな。」【ダイニングの椅子に座る叶】

青葉「じゃ、簡単に朝食作るよ。今日大学は?」

叶「とりあえず午後からだから。一回帰る。」

青葉「そっか。ごめんね。あんま寝れなかっただろ?」

叶「なんとか大丈夫だから気にするな。青葉仕事は?」

青葉「俺は、今日撮影もないから姉貴に連絡して今日は部屋で大人しくしてるよ。」

叶「それがいいな。」【淹れてくれたコーヒーを飲む】

青葉【朝食を持ってきながら】「なぁ、気づいてた?」

叶「何が?」

青葉「今、俺のこと呼び捨てにしたでしょ」【笑顔の青葉】

叶「は〜!!別に普通だろ?」【焦る叶】

青葉「そうだな」【嬉しそうな青葉】【動揺する叶】

叶「やっぱ俺帰る!コーヒーありがとな。ごちそうさま」

【玄関まで走る叶】

青葉「え!もうすぐでできるのに!満島くん!」



————————————アイツ、完全に調子が狂う!!

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