アシタカのことかああああああああぁぁぁ!!!!!!!!!!

 なんで、こんなことになったのだろうか。


 俺は今、命の危機に瀕している。

 走馬灯見て召喚されるなら確実に今だろう。

 誰だうんこ中に召喚された下痢クソ野郎は。

 

 ああ、母さん父さん。

 あなたがちょっと雑めに育てた子は、とうとう名前を出さずに5話目にさしかかろうとしている中、

 

 死にそうです。


 昨夜、俺はオネエ軍団から全速力で逃げていた。

 流石に死ぬ。囲まれて圧死する。

 

 あいつらにケツ処女奪われるくらいなら舌噛み切って自害して転生したるわ。

 スライムにでもヤムチャにでもなってやる。


 もちろんそんな勇気ないが。


 そうこうしてる間も化け物達はえげつない身のこなしで追ってくる。


 あかん。このままだとヤラれる!!!


 何としてでも逃げ切らなければ、俺はもうお嫁に行けない体になってしまう!


 それだけは嫌だあ!!!


 掘られたくない一心で森を駆け抜けていると、洞窟を見つけた。

 木の影に隠れており、化け物の達は背が高いので気づかない可能性が高い。


 もしかしたら行き止まりかもしれないが、一か八か。


 俺はその穴に潜り込んだ。


 あたりはかなり暗く、俺はマジックボックスから灯りを出し、その灯りを頼りに走った。


 しばらく走って、化け物が追ってきてないことを確認した俺は、その場にへたり込んだ。


「ここで寝るか。」

 テントは必要なさそうなので、そのまま異世界版の薄い寝袋を出して、目を閉じた。


 めちゃめちゃ背中が痛い。

 とても寝れたものじゃなかった。

 洞窟の地面はゴツゴツした岩だったから当たり前なのだが。


「もう少しマシな場所を探すか。」


 こういう暗いところだと自然に独り言を呟いてしまう。

 ベジータぐらい多くはねえけどな。

 あれは完全に説明キャラだから。

 各作品に説明キャラいるけど、あんな筋金入りの説明っ子はいないよ。

 ベジータかジョジョメンバーぐらいだよ。あいつらスキありゃ入れようとするもん。


 流石解説役。


 そんなことを考えていると、いつの間にか草の生えている所についた。

 いや、草というよりは苔か?

 さっきの所よりは良さそうだ。

 背中に優しい環境で、再び薄い寝袋の中へ。


 寝そべりながらよく見ると奥に湖があるな。

 水があることでここに生態系ある可能性が一気に浮上してしまった。


 なんか本当にドラゴンが居そうな神聖な感じなんだよなあ。ここ。


 ちゃうわ。シシガミ様だわ出てくるの。

 うっすら周りにカラコロしてるちっちゃいこだまおるわあ。


 いや、結構ガチであれシシガミ様じゃね?

 勝手に妄想で作り出したんかと思ったけど、ガチやん。


 あの鹿の足元の草枯れてるし、ちょっとずつ近寄って来てるもん。

 アシタカの傷癒してこいよ。

 俺はアシタカ違うしもののけ姫も近くにいねえわ。


 誰が乙事主じゃ。誰がタタリ神じゃボケ。

 周りのあのウジみたいなのは下痢クソじゃないわ。


 え、ガチで近ずいてきてるじゃん。シシガミ様。

 俺傷ついてないしタタリ神様右腕にいないから来なくていいよ?


 あ、これ生命力吸いに来たっぽいっすわ。


 再び起き上がってダッシュをしようとして俺は盛大にコケた。

 薄い寝袋こんな時に強度出してんじゃねえよ!


 顔面痛ったぁ。顔から落ちたわ。

 てかなんで抜けないんだ?寝袋?

 よくあるズボンの裾の繊維に引っかかる爪みたいになってるやん 。

 

 何とか寝袋から脱出した頃には、シシガミ様は近くに寄ってきた。

 あーこれ死んだわ。周りもう苔も無くなってるし、なんなら岩も砂になってるし。


 そうかあ、死ぬのかあ。


 やり残したこと探したらいっぱいあったわ。

 童貞のまま死にたくはない。

 絶対嫌だ。

 こんな事ならケツ掘られた方が良かったのか?


 いや、どっちにしろ死ぬわ。


 こういう運命だったのかな?

 だとしたら本気で俺は神様と親を恨むね。

 末代まで呪い殺す。

 俺一人っ子だから末代俺だけど。


 何故かシシガミ様は近寄ってこない。

 あれ?これはあれか?顔面打ち付けたから傷を癒す方向にシフトチェンジしたのか?


 おお、助かった?


 ゴ、ゴゴゴゴゴ


 わかり安く地面が音を立てて揺れ始める。

 震源は、シシガミ様だ。


 あかんやつだわ。これ、戦隊モノの敵キャラが巨大化する時にそっくりだわ。

 シシガミ様って巨大化したっけ?


 したわ。


 俺首撃ち抜いてないって、エボシ御前もいないから、え、なんで巨大化したの?


 俺の足元にはシシガミ様の頭がありました。

 

 うーん。転がってるねえ。

 

 どゆこと?俺の内なる秘めた力が覚醒したの?

 無双じゃんやったね。

 題名変えよ。

 異世界飛んだらシシガミ様の首吹き飛ばしたから死にます。ってのに。


 いや、冗談は置いといてな。

 マジで誰?首吹き飛ばしたの。今ならまだ首すぐ渡せるよ?


「おとーさん!きょうはぼくがやるってやくそくだったよね!」

 ん?

「あー、あいつもうあーきちゃったからいいぞお!」

 待って待って、

「父さん。いくらなんでもゴペンには早すぎますって。」

 おい?あかんぞ?

「だいじょーぶだよーおにーちゃーん!ほら、トラックスくん!いくよ!」

「おっけー!ゴペン!」

 それはダメだって!

「「プュージョン!はああ!!!」」

 野沢さあん!!!!

「ゴペンクス!さんじょお!」




 一瞬だった。

 あのシシガミ様が一瞬で塵になった。

 いや、嘘やろ。まさかのドラゴン○ール。

 野沢雅子80パーセントだったわ。伝説の声優流石すぎ。


「おっめえでぇじょぶだったか?」

「ええ、何とか、助けて頂いてありがとうございます。」

「おお!おめえなんていーんだ?」

 おお、やっとだ。5話目で名前が出せる。ドラゴン○ール良い奴!!!悟空いい人!野沢雅子さんありがとう!!!


「父さん!!もう一体出ましたよ?僕がやりますか?」

「いや!オラがやっぞお!」


 シュン.....


 悟空ふざけんなゴラ。



「あれぇおめえ誰だっけ?まあいいや。オッス!オラゴプウ!よろしくなあ!」

 良くねえんだよ。もう5話目で名前がないのは良くねえんだよ。


「失礼ですよお父さん!」

 おお、悟飯!やっぱりお前はサイヤ人唯一の常識人だ!

「それで?ピーデルさんより弱い貴方が、なんでこんな所に?」


 ナチュラルに傷つけるのやめて。召喚されてサタンの娘より弱いって言われるのはかなり傷つく。


「ほんとうだあ!スカウターでみたら戦闘力たったの5だったぁ!」

 なんで悟天ちゃんスカウター使ってるの?

 それ使っていいのフリーザ様と富士額だけだから。

 貴方が使っちゃダメだよ?


「いえ、僕は交易で来たもので、エルフの里に行くために来たのです。知っていますか?」

「なんだあ。僕達に用があったんですね!案内しますよ!」


 はあ?


 え、待ってお前らエルフなの?

 嘘だろ?

 ドワーフは臼井儀人の作品でエルフは鳥山明なの?

 この世界どうなってんの?




「右手に見えますのは、ガリン様が神豆を育てているガリン塔です。ただいま農園を広げて神豆大量生産中です。お土産にどうですか?」

 仙豆を大量生産だけでもアカンのにお土産で売ろうとするのが凄いわ。

 流石サイヤ人。さすが鳥山明ワールド。器が違うぜ。

 

 今道案内しているのは、バスガイドのバイトをしていたこともあるゴパンだ。やはりしっかりしてる。

「左手に見えますのは、精神と時の部屋でございます。七龍玉を使って拡張と何回でも入れるようにしましたので、夏休み終わる直前の子供と、締め切り間近の漫画家がこぞって利用になられます。料金はこっちの時間で換算します。ブースだと3時間で九百円。完全個室だと1200円となっております。」

 完全にネット喫茶。

 ていうか拡張と何回でも入っていいなんてやっちゃあかんやろ。

 ドラえもんでも秘密道具の重ね技は映画でしかしないよ。

 禁忌すぎる。


 「正面に見えますのは、オリジナルの七龍玉が保管されているプルマ邸でございます。現在プルマさんによって七龍玉の複製が可能となった今、神龍は常に出しておき、カミリュウ・トークというアトラクションが出来ており、キッズに大変人気となっております。」

 ブルマさんとうとう複製しちゃったかあ。

 てか神龍もなかなかプライド無くしたな。

 まあ、自分の代わりがいっぱい出来たらそうなるか。


 うん。ディズニーのタートル・トークみたいだけど触れないでおこう。

 流石に、神龍が声高くして「ハーイ!!こーんにーちわー!!!」

 とかやってたら多分泣くぞ。

 ドラ○ンボールファン。


「そうだ!せっかくだから父さん!あすこに寄りましょうか!紹介も兼ねて!」

「そりゃいいてーあんだなあ!よし!オラに捕まれ!みんな!行くぞぉ!」

 

 シュン


 はい出た十八番の瞬間移動。

 流石父さんだわ。


 で?ここは一体?

「ここは天下一武道会というところです!強者達が己の強さを見せつけるエルフ特有の行事です!」

 なるほど。年に一回の天下一武道会が行事と化してるのか。そりゃすげぇわ。

 

「主に喧嘩の雌雄を決する裁判とか、テレビのチャンネルの争奪などで使われますね!」

 うわあ。前者はまだいいけど、後者は話し合いで決めろよ。

 お姉ちゃん絶対勝つじゃん。


 「武道会なのに個人的な用途なんですね。」

「はい!武道会の会は自治会の会なんで!地域オセロ大会などもここでやります!いわば自治会館みたいなものです!」

 なるほどなあ。自治会館の名前インパクト強すぎるなあ。


 何となく仕組みはわかった。

 で?紹介も兼ねてってことだから何か目的があるんだろうが、なんだろう?


「オラ未だにエルフと森の魔物しか戦ったことねーんよ!だからな!オラといっちょ戦ってみねーか!?」


 いや、無理ぃ!!!!

 こちらとら戦闘力たったの5だぞ?

 そっちもうフリーザの53万なんてゆうに超えてるじゃん!


 スペランカー対スターマリオみたいなもんだよ?

 即死確実だから。


「いえいえ、実力がないので...それに。今は夜ですし。」


 そう。今は夜なのだ。時間で言ったら大体10時くらいだろう。

 流石に深夜のファイトはダメだろ。

 近所迷惑だし。てかそもそも迷惑になるほど接戦にならねえわ。

 肩パンでのされるわ。


 あべしっ


「それもそうですね!エルフの里には宿泊施設もないし、僕らの家に泊めていいですか?父さん。」

 おっとぉ。俺の意思は?

 てかこの世界来て1回も名前呼ばれてないし聞かれてもないけど俺いない設定になってるっけ?


「そっだなあ!おめー泊まってけーよ!」

 んー悟空!なんだかんだ言って生の悟空ボイス聞けるのは嬉しいなあ。

「はい!泊まります!」


 という訳で俺はスーパーサイヤ人。ちゃうわ。エルフの家に止まった。

 意外とチチのご飯は美味しくて、おかわりをしてしまった。

 てか、ポン酢があった。

 ポン酢があるってことは醤油があるってことなので、お寿司が食べれる。俺の欲望のためにも、絶対見つけてやる。


 翌朝。

 抜けない習慣でスマホを探しながら起きたら、変なものを掴んだ。

 柔らかくなく、若干硬い。

「いやん。」

 その言葉で俺ははね起きた。

 まさか、あのラッキースケベイベントが起きるとは。

 異世界召喚されてみるもんだなあ。

 そう考えながら隣の人を見.....


 ........。


 化け物がいた。

 そう。昨日の夜、全速力で逃げ、逃げ切ったあいつが、ノエル姉がいた。


 .....


「うわああああああああああああああああああああああああぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


 多分今まで生きてて1番叫んだと思う。

 マジ怖い。本当に怖い。なんでここにいるの?ねぇ、ねぇ、ねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇ。

 ねぇ!!!!!!!


 俺は布団から腰が抜けながらもはいはいで逃げ出そうとした。

「逃がさないわよォ!!」

「だ、誰かああ!た、助けてくれぇぇぇぇ!」

 そう言った俺の目の前に現れたのは、やけに久しぶりに感じるヘレンとクラピカだった。


「な、なんで、お前らまでここに。と、とにかく助けてくれぇぇぇぇ!!!!このままじゃヤラれるっっ!!!!!」

「勝手に行動した罰じゃないの?ねぇ。ペローチカ。」

「ああ、そうだな。勝手に行動して勝手にエルフの里に入っていった罰だ。」

「て訳で、掘られろ。」

 とニッコニコ笑いでクレピカはいいやがった。


 俺は泣きながらノエル姉に引きずられる。


 ああ、母さん父さん。

 あなたがちょっと雑めに育てた子は、とうとう名前を出さずに5話目が終わろうとしている中、

 

 死にそうです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る