35 神国へ
「ふむ……ご主人らは神国を滅ぼしたいということだな?」
滅ぼされると困るんだがなかなか悪魔には伝わらなかった。
「うーん、この子やっぱりちょっと頭が弱いのでしょうか……」
「うるさいぞ! 淫乱聖女!」
悪魔はリリィと仲良くなっているようだ。
「で、そういや名前はなんなんだ?」
「ふふ、悪魔は簡単には真名を明かさんのだ」
「じゃあバカとでも呼びましょう」
「アホでもいいね!」
「お前ら終いには滅ぼすぞ!!!」
ビレナも仲良くなっていた。
「ご主人! ちゃんと従魔のしつけはしておけ!」
「はいはい。で、なんて呼べばいいんだ? このままだとバカかアホになるぞ」
「ぐぬぬ……良いだろう、真名は明かせんがベルと呼べ」
こうして味方に悪魔が加わった。獣人、神獣、聖女、ダークエルフ、悪魔か……。どんなパーティーだこれ……。
「リントくん、この子はアホの子だけど強いのは間違いないよ」
「それは感じてる……」
結局俺のテイムに従っている形だから、その力が俺に還元されている。能力上昇の幅はビレナやリリィを持ってしてもまるで比較にならないほどだった。
おそらく2人がかりでもまともな戦力差なら勝てない。属性の相性のおかげでリリィならトドメが刺せるのはさせるが、そこまでの時間稼ぎを誰がどうするのかという問題はでてくる。
「ふふ、私の力に驚いておるようだな」
「そうだな……これは素直にすごい」
「ふ……ふふふ!」
顔を赤くして背けるベル。照れてるな。
「可愛いねー、ベルちゃん!」
「そうですね、赤くなってる姿はなんかこう、守りたくなっちゃいますね」
「うがー! なんなのだお前らはー!」
微笑ましく見ているがバロンは固まっていた。
「あんな圧倒的な存在を前になんであんな態度に出られるのか理解できん……召喚したはいいがリント殿がいて心から良かったと思ったぞ……」
「そうなのか……」
俺はテイムしてるからか、力の差がありすぎるからかそんなに感じないんだけどな。
「ご主人ー! たーすーけーろー」
あの様子を見て緊張感が得られないというのが真実かもしれなかった。
◇
「で、神国を滅ぼすんだな?」
「いや、だから滅ぼさないでくれ……」
話が振り出しに戻ってしまった。
「だが今から乗り込むのであろう? 滅ぼさずにどうするというのだ」
「話が進まないからしばらく還っててもらう?」
「俺はできないぞ」
「私もできないな……」
「ん? そんなこともできないのかお前ら、こうするのだ」
シュルシュルと黒い渦が生まれてそこへ吸い込まれるようにベルが消えていく。
「自分でいなくなったのね……」
「やっぱりちょっと頭が……」
とりあえずややこしいのはいなくなったので出発することになった。
「私は留守番で良いんですよね……?」
「うんうん、そのために仲間になってもらったんだからねー!」
「仲間……」
それまで気配を消していたミラさんが初めて声をあげた。
「家のこと、お願いします」
「はい」
「あ、しばらく会えないし、おっぱいとか揉んどけば?」
「はい?」
ビレナの言葉に固まるミラさん。
「ご主人さまゴーゴー!」
リリィも何故か煽り始める。
胸元を手で隠して怯えるように後ずさるミラさん。
「嫌がってるからさ……」
「い、嫌じゃないですよ、ほら」
なぜか一転して胸を突き出して差し出してくる。よくわからないけど揉ませてもらって旅立つことになった。
とてもよかったです。
ありがとうおっぱい。そしてミラさん……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます